1528.【28】 ページ28
［雅にぃside］
学校帰りの
潤を連れて、いつも通りに
面会にきたんだけど…
病室はいつも通りではなかった。
ソファーに座ってる智にぃは俺らの方を
見る事なく俯いてて。
和は翔にぃの腕の中で泣き疲れて寝てる。
翔「じゅん？顔拭いてやってくれる？」
翔にぃは身動きも取れなかったみたいで…
潤が、涙の跡が残る和の顔を拭いてやった。
少し動かしても和が起きない事を確認した
翔にぃがベッドに寝かせてくれて、俺らを
ソファーへと促す。
翔「智にぃ…？」
翔にぃは智にぃの肩に手を置いて、そのまま
傍に座ってくれた。
俺と潤は2人の正面に座る。
翔「熱、計ろうとしたんだよね？」
智「…ん」
翔「何で耳式のにしたの？」
智「…めん。心配で、焦った…」
智にぃは俺らの顔を見ながら「熱が高かったら…
って思ったら、心配になっちゃって。無理矢理に
計ろうとしてパニック起こさせた」って説明。
翔「そっか、そっか…。熱はね、なかったから
大丈夫だから。」
智「ん。ごめん…」
翔「んーん。ありがとう…」
智「…次から、気を付けるから。ちょっと、
頭冷やしてくる…」
フラフラっと立ち上がって、病室を出ていく
智にぃ。
後を追おうと思ったんだけど、翔にぃが
「ちょっと俺らだけで話そう？」って
提案してきたからやめた。
翔「少し様子見てみよう？智にぃ、何か
悩んでるのかもしれない…」
「うん…」
潤「…っ、ん…」
翔「じゅん？こっちにおいで。」
潤「…っ」
一人静かに泣き出した潤を、翔にぃが
優しく抱き締める。
翔「泣かなくても大丈夫だから。な？」
潤「…っ、んっ…ん…」
［智にぃside］
自分の行動を反省しつつ、1時間くらいで
病室に戻ったら和は起きて、潤とゲームを
していて。
翔が上手くフォローしてくれたんだろう。
和は俺を見ても怖がる事なく「帰ってきた！」
って笑う。
俺が守りたいのは、この笑顔のはずなのに…
そう思うと、自分のしたことが悔やまれる。
だけど、あの時は必死だったから正直、記憶が
曖昧なんだ…
ただ、すごくドキドキして焦ったのは覚えて
るんだけど。
だから俺は同じ間違いを繰り返すことを恐れて
常に気を張る様になった。
みんなの表情を良く見て、大丈夫そうなら
余計なことは口に出さない。
何か言えば、迷惑掛けるし、自分自身が
不安になってしまうから…
大好きな兄弟と居る時でさえ、ピーンッと
緊張の糸を張ったような状態。
俺の心は限界だった…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 702人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
