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［智にぃside］
「座ってみようか…」
和「…んん。お尻、…たいも…や…」
床擦れしたお尻が痛くて座るのを嫌がる。
いつ回復するんだろ…
いい様のない不安が頭を支配する…
手を伸ばしてきたから握ってやったら、手が
熱い気がして慌てて額に手を当てる。
「かず？具合悪いの？悪いんじゃないの？」
俺の焦った声に戸惑った和が「ない」って
手を払い除けてくる。
その行動を怪しいと思ってしまった俺。
「ないなら計ってもいいよね？」
和「…い、ないよ…？」
迫る俺が怖いのか、目を潤ませてくるけど
俺の頭は不安でいっぱいで…
『熱が高かったらどうしよう…』
『俺が気が付かなかったせいで…』
そう思ったら引き出しの中の耳式の体温計に
手を伸ばしていた。
和「…い、ないっ…、…こったら、…だ…」
さっきまで俺と2人で穏やかな空間にいたん
だから和が戸惑うのは当然で。
でも俺は自分の気持ちに必死だったから
嫌がる和の頭を抑えて体温計を差し込んだ。
和「…っ、…だ、…っ、ぎゃー」
状況も掴めないまま、苦手な耳式の体温計を
無理矢理に差し込まれてパニックを
起こしてしまった和。
和は一人で座っていることが出来ないから
ベッドに倒れ込んで両手で耳を塞いで叫んでる…
［翔にぃside］
和の病室に向かって歩いていたら
廊下まで響いてきた叫び声。
慌てて病室に駆け込んだら、パニックを
起こして泣き叫んでいる和と、それを呆然と
見つめる智にぃの姿。
「…智にぃ？どしたの？」
縋ってきた和を抱き締めながら問い掛ける。
智「…ん、ごめん。何でもない…」
何でもないって…
理由なく和がパニックになるはずないのに…
そう思ったけど、智にぃの顔には表情がなくて
黙って俯いてしまったから、問いただす事が
出来なかった。
和「…っ、…んっ、…めんなさ、いっ…」
「ん？和が何かしたの…？」
和が先に口を開いたから聞いてみたけど
「ごめんなさい」って泣きながら繰り返すのが
精一杯。
「いいよ、分かったから…。な？」
ベッドに座って抱きかかえて落ち着くのを待つ。
「大丈夫だから。な？ビックリした？」
和「…つ、ない」
「ん？」
和「ね、つ」
和は俺の胸に顔を押し付けながら「熱ない」って
訴えてきて。
だけど、和の途切れ途切れの言葉だけじゃ
状況が掴めない。
「智にぃ？何か知ってる？」
智「…」
智にぃは黙ってソファーに移動して座ってからは
顔も上げない。
どうしたものか…
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
