1516.【16】容態悪化… ページ16
［雅にぃside］
潤のタオル作戦で
和の表情が
和らいだ様に感じる。
「嬉しいね」ってみんなで笑い合って
当直の翔にぃに和を託して帰ることに。
「また来るからね…」
それぞれに和の体に触れて帰りの挨拶を
していると、異常を知らせるアラームが
鳴り響いた。
翔「かず？？」
意識がないままの和を襲った発作。
手足をピーンと伸ばして痙攣が始まる…
智「…ず！かずっ…」
情緒が安定し始めていた智にぃが真っ先に
パニックに陥る…
すぐに沢山のスタッフが駆け付けてくれて
その中には翔にぃの先輩の姿も。
先「ごめんね、少し下がっててな…」
こんな緊急時にも家族への対応は優しくて
丁寧で…
その温かさに、この病院のすごさを感じる。
「智にぃ。こっちで待とうね…」
肩を抱いて移動して、少し離れたところで
和を見守る。
専門用語と薬品名が飛び交って…
俺は少し勉強したから分かるけど、それでも
ほんの少しだから。
「大丈夫なのか」「大丈夫じゃないのか」
そこまでは分からない…
潤「…っ、…ず、かず…」
「じゅん…」
泣き出した潤に手を差し出したのは智にぃ。
智「…めんね、大丈夫だから。俺は信じるよ？
和の力。それから翔と先生の力」
「…とにぃ」
智「んふふ…ごめんね」
しっかりした顔で笑う智にぃは「長男の顔」に
戻っていて。
潤もそれを感じたのか、ピタッとくっ付いて
わーわー泣き出した。
智「ほら、見てごらん…じゅん。
和ね、頑張ってるから。どこにもいかない…」
潤「…っん、ん、…うえ、ん、する…」
智「ん、みんなでしてあげよう…」
しばらくしたら、バタバタと動き回っていた
スタッフさん達が静かになって人数も減って。
でも和の体は、沢山の装置を着けられたまま
バスタオルを掛けられただけの状態…
翔にぃと先生からは「期間が空いているから
二次発作ではなくて突発性の発作」で
「心臓がギリギリ動いている状態」って事が
告げられる。
智「大丈夫なんですよね？」
智にぃの言葉に俯いた翔にぃ。
この時、先生の口から「覚悟は必要かも
しれない」って言葉が初めて発せられた…
先「このまま意識が戻らずに、また発作に
なれば、和くんの心臓はもたないかもしれない」
…っ、そんな…
先「そうならないように、翔くんとしっかり
治療していくから。ただ『大丈夫』とは
言ってあげられない。その意味、分かって
くれるね？」
潤「…はい」
先生の言葉に一番に返事をしたのは潤だった…
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
