1515.【15】 ページ15
［潤side］
今日は土曜日だから
ずっと病院に居られる。
持ってきたタオルを、和の顔の近くに置いたら
翔にぃに睨まれた。笑
「翔にぃ怒ってるけど、和に怒ってる訳じゃ
ないからね？」
ピッピッピッピッ…
「んふふ…翔にぃの匂いするでしょ？」
翔「…っ、ばかっ…笑」
怒りながらも、タオルを奪ったりしないのが
翔にぃの優しさだよね。
こんなことする俺の気持ちも、きちんと
汲み取ってくれてる…
翔「やっぱり痛いのかな…どう思う？」
「ん、どこ？」
翔「ここ…」
痩せてしまった和は背中の骨がベッドに
当たってしまう。
タオルを当てたりしてくれてたんだけど
床擦れと並行して赤くなってきちゃってる…
「痛いかも…ね」
翔「だよな。ごめんね、かず…」
できる事をなるべくして
目覚めた時に痛くないようにしてあげたい。
それは床擦れとかに限らずね。
これだけ寝たきりだと、筋力も落ちちゃうし
どうしても目覚めてからの負担が大きく
なっちゃうから…
こんなに頑張ってるから、起きた時くらいは
苦痛を感じさせたくないでしょ…？
でも現実は厳しくて…
ずっと挿管されてるから、喉もきっと痛がる
だろうし、他の管も抜いた後は痛むだろうし。
そう考えているとキリがない…
せっかく目覚めても、しばらくは「いたい」って
苦しむんじゃないかなって心配で堪らない。
翔「どんな夢、見てんだろうね…」
「ん。苦しんでないといいな…」
翔「そうだね。でも、この顔だもん。
大丈夫じゃないかな…笑」
「んふふ…」
時折、顔を歪めて痛そうな、苦しそうな表情を
するけれど、他の時は少し口角が上がって
目も軽く閉じてる感じ。
いい夢を見れてる感じがしてる。笑
「明日は雅にぃのタオル持ってきてあげるね…」
ピッピッピッピッ…
「明後日は智にぃ…」
ピッピッピッピッ…
「あ、あらしのも持ってこなきゃね…」
翔「お前のもな？笑」
「…ん」
翔にぃは和の足を動かしながら優しく笑う。
「また痩せたね…」
翔「ん、痩せたな…」
こんなんで立てるのか…？って思っちゃうくらい
筋肉が落ちてしまった足。
せっかく沢山食べようとして体重をキープ
しようと頑張ってたのに…
夏バテで食欲なくなってたところに
重なっちゃったからね、可哀想に…
でもさ、目覚めてくれたらリハビリも楽しく
できるように工夫するから。
プラスのことを心の中で繰り返す。
だから…お願い目を開けて？
でも、この思いは…
届かなかったね…
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
