1940.【8】 ページ40
［智にぃside］
「悔しくて
泣いてるの…？」
和「…っん、ん…、…っん…」
「…それとも、苦しい？」
和「…っ、ん…、あっち、いっ、て…」
「いかないよ…和だって、潤がこうやって
泣いてたら傍を離れないだろ…？」
和「…っ、…んくっ…」
「俺らも、おんなじ。離れたく、ないよ…」
しゃっくり上げて泣き始めたから、背中を
ゆっくりとさする。
和は「潤、治る？」「また学校行ける？」って
繰り返しながら縋ってくるようになった。
不安で押し潰されていた心。
もっともっと寄り添って、受け止めてあげないと
いけなかったね…
「治るから大丈夫。和も潤もね」
和「…っん、…ん、ん…」
「よしよし。不安だもんね…」
和「…んっ、…んくっ…」
コクコク頷きながら、しがみ付いてくる可愛い奴。
病気と闘ってきた環境の影響で、幼く感じることも
あるけど、心はしっかり成長してくれてる。
人を思いやったり、自分以外の人のことを
心から心配できる心が育ったこと…
ほんとに嬉しく思う。
「着替えにいこっか？」
和「…ん、…っん」
雅紀は気を遣って出ていってくれただけで
多分お湯とタオルは用意してないはず。
落ち着けば和が自分で動くって分かってるからね。
案の定、風呂場にはタオルが用意してあった。
優しい心遣いに感謝だね、和。
リビングからは、雅紀の「あひゃひゃ！」って
独特の笑い声。
「雅紀と潤、楽しそうだね。着替えたらおいでね」
和「…ん」
頷いた和を風呂場に送って、俺はリビングに合流。
潤「かず…大丈夫だった？」
すでに雅紀から情報が届いていたみたい。
「大丈夫だよ。ちょっと心配で不安になっちゃった
みたいだけど」
潤「…れ、がんばる」
「ふふ。もう十分頑張ってるじゃん」
今回の潤に足りないとすれば頑張りよりも
素直になることじゃない？笑
でも…
潤「…りがと」
クタッと体を寄せてきた潤。
温もりを感じて確信する。
『もう大丈夫だ』ってね。
少ししょんぼりした和が合流したけど
潤は「かず、ごめんな？」って謝って
それから「素直になってちゃんと治すから」って
宣言。
潤を思う和の気持ち。
和を思う潤の気持ち。
いつだって揺るがない。
それから双子を思う、俺ら兄の気持ちもね。笑
双子の心は時々、バランスを崩すことも
あるけれど…
和「ふふ。俺もがんばる」
潤「ありがと。俺も…」
それからの潤は末っ子に戻った。
もちろん大好きな翔に「やって？」って甘えて。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年6月28日 7時
