1938.【6】 ページ38
［翔にぃside］
薬を持って戻ったら
リビングの入り口に突っ立っている潤。
ソファーに力なく寝転ぶ和を見て、辛そうに顔を
歪めている…
「おいで…？和に声掛けてやって？」
潤「…っ、いいっ！」
引こうとした手を振り払ってカウンターの椅子に
座って、こっちを睨んでくる。
やってることは、まだまだ子ども。笑
辛い状況なのに自分のこと追い込んで、どんどん
マイナスの方向に進んでいってしまってる…
けど、俺らがどうこうして素直になってくれる
年齢はとっくに超えてしまっているし…
「血圧、どうだった…？」
智「あ、うん…大丈夫。」
安定した数値が見られて安心する。
和「…ゅんとこ、…きたい」
「はは！あそこ。笑」
和の口から発せられた「じゅん」って言葉に
少しビクッと反応した潤だけど…
呼ばれてるのに逃げるわけにはいかないらしく
俺に指を指されて俯いた。
和「…ゅん」
潤「…」
返事をするわけではないけど、和を真っ直ぐに
見つめてあげてる。
俺らには怖い顔するくせに…笑
和「…ゅん？熱、あるの…？」
潤「ない。大丈夫」
和を不安にさせていると分かったら即答だもんね、
すごいと思う。笑
和「…ねつ、計った？」
潤「…」
和からの真っ直ぐな質問に答えられずに
不安気に瞳を揺らす。
「これから計るもんな？」
潤「…ん」
仕方ないから助け船。笑
「部屋いこっか。和室にしとくか？」
潤「…ん」
頷いたのを確認して和室で待つこと数分。
ゆっくりゆっくりと近付いてきた潤に体温計を
渡して様子をみる。
頭も痛いんだと思うんだよね…今朝から何度も
こめかみを押さえたり、顔を歪ませたり
してるから。
素直に教えてくれるとは思えないけど。
ピピッ…
チラッと体温計を見てフリーズしてる可愛い奴。
「何度だった？見せて？」
潤「…ん」
感じる和の視線。
和の手前、隠すことは出来ないからか
素直に体温計を渡してくれた。
表示は37.6℃。
でもストレスによる熱だと思うから『和に隠せた』
って安心感で少しは軽減すると思って。
「あ、大丈夫じゃん。平熱だね」
せっかく俺が気を利かせてやったのに、潤は
上手く言葉を返せずに挙動不審。
「ほら、おいで。
そんなんじゃ和にバレるだろ？笑」
潤「…っ、うるせー…」
腕を引いてそっと耳打ちしたら
恥ずかしがっちゃってる。
「薬持ってくるから。頭は？痛い？」
潤「…」
「潤？」
潤「…ん」
はは！最初から素直になりなさいよ。笑
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作者名：空
| 作成日時：2015年6月28日 7時
