1929.【2】 ページ29
［潤side］
部屋には
俺しかいないのに…
どうしたらいいか分からなくて頭の中が
パニック状態。
和は意識を失ったまま体を痙攣させてるし…
「…っ、かずっ！かず！」
何度呼び掛けても反応がなくて怖くなってきた…
「…っ、ん…、…めん、ごめ、ん、な…？」
謝ってる場合じゃないことくらい分かってる…
でも、溢れてくる感情と涙は止まっては
くれなくて。
『助けたい』
『助けなきゃ』
その為に俺が何とかしなきゃいけない…
そこがやっと結び付いて、俺は大声で翔にぃを
呼んだ。
泣きながら何度も「翔にぃ！」「助けて！」って。
バタン…
翔「どした？」
部屋に入ってきた翔にぃは真っ先に俺を
抱き締めてくれた。
翔「ありがと、潤。すぐに処置するから
手伝ってくれる？智にぃに、救急車呼んで
もらって？」
「…ん」
もう一度ギュッと俺を抱き締めてくれた翔にぃ。
翔「お前が傍に居てくれたから大丈夫。
ありがとな」
「…っん、…ん…」
こんな時間はほんの数秒だけど…それでも
こんなに安心できた。
翔にぃだったら、絶対に和のこと助けて
くれるから。
そんな思いでいっぱいになって安心して、
俺は智にぃの部屋へと向かった。
［翔にぃside］
泡を吹いて倒れている和を見て
アナフィラキシーショックじゃないかなって
すぐに思った。
服を捲ってみれば、全身に蕁麻疹。
やっぱりな…
体調が悪くて体力が低下してたから、アレルギー
反応が起きたんだと思う。
もう少し気を付けてやれば良かった…
「かず…ごめんな。苦しかったね…」
とりあえず顔を横に向けて吐瀉物が
詰まらない様にして。
軽く診察していたら智にぃが潤を連れて
きてくれた。
智「救急車、すぐ来るって。発作？」
「たぶん、アレルギー反応。薬か、食べ物か」
潤「かず…、…っん…」
足元に駆け寄った潤の頭を智にぃは優しく撫でる。
「何か食べたっけ？フルーツ？」
智「朝と昼はリンゴ。潤が帰ってきてから
何か食べたっけ？」
潤「…っ、ん、りんご、食べなくて」
潤は泣きながら「リンゴは食べなくてキウイを
半分くらい食べた」って教えてくれて。
キウイ食べてから、そんなに時間経ってないし
やっぱり薬かキウイだなって…
「とりあえず薬打つから。ちょっと見てて？」
智「ん、了解」
潤「…かった」
用意してあったアレルギー用の薬を取って戻ったら
和が微かに目を開けていて…
「苦しかったな…ごめんな」
そっと頭を撫でたら小さく首を振った。
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作者名：空
| 作成日時：2015年6月28日 7時
