1920.【2】 ページ20
［和side］
2.3日寝込んで、
俺はすっかり元気になった。
でも、翔にぃは相当大変だったと思う…
「入院はいやだ…」って散々泣いて喚く
俺を相手に「入院にならないように頑張るから」
って治療法や薬を考えてくれていたから。
翔「ただいま帰りました〜…」
だからなのかな、玄関から聞こえる翔にぃの声が
いつもより元気がない気がするのは…
翔にぃは俺の担当医になってから、大変なことが
多過ぎる。
我儘で恐がりで泣き虫な俺の担当医は
ほんとに大変だって分かるもん…
疲れてる翔にぃの邪魔はしたくないから
今日はちょっとだけ頑張ってみようかな。
そう思って、お風呂後の簡易採血を頑張ることを
自分の中で決めた。
採血の時間が迫ってくるにつれてドキドキ
してくる心臓。
翔にぃはお風呂上がりの俺の髪の毛を乾かして
くれて、いつも通りの時間を過ごしてリラックス
出来るように配慮してくれてる。
しばらくして雅にぃが「かーず！ゲームしよう」
って隣に座って、翔にぃは自室へ。
採血の準備をしに行ったんだな…って
分かってしまって、もっとドキドキ…
『迷惑を掛けないように頑張らなきゃ…』
『恐くて頑張れないよ…』
2つの気持ちが交差する…
［翔にぃside］
今日の和はちょっと敏感…
ビクビクしているのが分かる。
もしかしたら簡易採血も恐がって、いつも以上に
時間がかかるかもしれないな…
そんな覚悟をしながらゲームをしている2人の
傍に座わる。
少しだけビクッとした和だけど
「今日は、どっちの足だっけ…？」って
すぐに聞いてきて…
恐いからやりたくないだろうに、嫌がることもなく
動くから、俺の思い過ごしなのかな…って
思ってしまう程。
でも差し出された足はやっぱり小さく震えていて…
和「…だいじょうぶ。やっていいよ…？」
「ん、終わらせちゃおうね…」
理由は何であれ、和なりに『頑張る』って
決めてるんだったら長引かせない方がいい。
そう思って雅紀に合図してから、差し出された
和の足に手を添える。
「すぐ終わるから、ちょっと我慢な」
器具を当ててカチッと…
雅「えらいね、おしまい」
和「…ん」
目を潤ませた和はそれを隠すように俯いて
「翔にぃありがと…」って呟いてから足早に自室に
戻ってしまった。
それを追うように潤もリビングを出ていく。
やっぱり少し気になる和の様子。
何かあるなら早めに対処してあげないと
和は一人で抱え込んでしまうからね…
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作者名：空
| 作成日時：2015年6月28日 7時
