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［翔にぃside］
智にぃから「血」って
言葉が聞き取れて
ようやく納得した。
そりゃ焦るよね…
でも話によると鮮血ではないみたいだし、
1回だけみたいだから。
「今すぐどうこうならないよ」って事を
何度も説明して智にぃに落ち着いてもらった。
「タクシー着いたらインターホン鳴らすように
頼んであるから。衣服緩めてあげて
傍にいてあげて？」
智「…ん、わかった…」
「智にぃ？和は名前呼んだら反応する？」
智「…ん、ちょっと…」
反応あるんだったら、意識なくならないように
声掛けてあげた方がいい。
でも今の智にぃにそれは頼めないから…
「智にぃ？俺らの会話が和にも聞こえるように
スピーカーにしてあげて？」
智「…ん、ん？」
「スピーカー。分かる？」
智「…あ、うん…」
「できた？」
智「…ん、できた。」
いつもの智にぃとは別人みたい。
あまりにビックリし過ぎたのと
安心したのとの差が激し過ぎて心が
ついていけてないんだよね…
でも病院までは何としても送り届けて
もらわないと。
「ねぇ、今はお腹痛がってる？」
智「…ん、すこし…？、うなってる…」
「体温はどう？」
智「…熱は、なさそう…汗も…ない」
和の為にもなるべく喋り続ける。
ピンポーン…
智「あ…きたよ？」
「乗って？電話切らないでね？抱ける？」
智「ん…」
しばらくゴソゴソって聞こえてきて…
たぶん電話をポケットかどこかに
入れたんだ。
しばらくして…
智「翔？のれた…、大丈夫。」
智にぃの口から出た今の「大丈夫」は本物で。
和を抱き上げて体温を感じたことと
第三者との接触が落ち着かせてくれたんだろう。
「よかった…病院で待ってるね…」
そう伝えて電話を切って処置の準備を始めた。
一か八かで、和が大好きな消化器内科の
「たいちゃん」をヘルプで呼び出してもらう。
外来中や検査の可能性も高いから
半ば諦めてたけど…
看護師からの「診察可能だそうです」の応え。
ほんと嬉しくて小さくガッツポーズ
しちゃったら、看護師に「弟思いですね…笑」
って笑われちゃった。
だって消化器内科で診察受けるのに
「たいちゃん」じゃないなんて
和が許すわけないもん。
どんな失礼なことだって言い兼ねないから
兄としては避けて通りたい道ってわけ。笑
先生と合流して分かってる範囲で話をしておく。
バタバタしてたら心配した先輩も駆けつけて
くれた。
智にぃのフォローお願いしようかな…
先輩なら心強い。
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作者名：空
| 作成日時：2013年12月27日 17時
