1108.【2】 ページ8
［智にぃside］
「ほら、立って？」
何とか用意はさせたけど
足に全然
力入れてくれない…
和「…って、いきたく、ない…」
「そんなこと言ったって…
心配だから行ってこようよ。
いつもと痛み方違うんでしょ？」
和「…へーき、やっぱ、いっしょ…」
「こーら。」
行きたくないからって、いつもと一緒って…
そんなの本気で通用すると思ってんのか？
だとしたら俺が甘やかし過ぎたな…笑
無理矢理にでも連れて行かなきゃな〜って
思ってたら翔から電話。
「メール見てくれたんだね、今ね苦戦中…」
翔と少し話しながら、ふと和に目をやったら
「うーっ…」って唸り出して。
「やっぱ、痛むみたい。今から連れて…」
背中が波打ったなと思ったら
すごい勢いで吐き出した。
「…！！」
嘔吐物を見て思考が停止する…
「…え？かず！！」
翔と電話の途中だったことも忘れて…
「かず！かず、しっかりして！」
気が付いたら泣きそうになってる自分がいた。
［翔にぃside］
珍しく智にぃが焦ってるのが伝わってきて。
ベッドから和が脱走したとか
そういうレベルじゃなく、何かが起きたのが
俺にも分かった。
「さとにぃ？」
何度か呼び掛けてみたけど応答がない…
ただ「かず！」「しっかりしてよ…」って
智にぃが叫んでるのが少し聞こえてくる程度。
こんな何も分からない状態で救急車の要請は
できないから、電話をスピーカーに
切り替えて、院内の電話でタクシーを要請。
智にぃも運転どころじゃなさそうだからね…
しばらく智にぃのことを呼び続けたら
「翔！！翔どうしよう！！」って。
応答があったことにホッとしたけど
智にぃの焦りようが半端なくて。
俺の心臓までドキドキし出したけど
焦るわけにいかないからね…
「智にぃ？1回、深呼吸して？」
落ち着いた声で伝えてみる。
智「和が！！翔、かずが！！」
当然1回では通じない。
「さとにぃ？」
智「和が！！」
「…深呼吸できる？」
智「…っん…」
「…分かったから。ね？もう1回できる？」
智「…ん、っん…」
深呼吸というより過呼吸みたいな変な呼吸。
「…さとにぃ？返事できる？」
智「…っ、…きる」
「ん。大丈夫だね…。」
智「…ごめ、ん。」
「大丈夫だから。今ね、そっちにタクシー
向かってるから、和はどんな状況？」
智「…、…いて、ぐったり…」
声が震えてるのか、上手く聞き取れない…
「ん？吐いたの？」
智「…いた、の、ち。」
「ん？」
智「ち、はいた…」
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作者名：空
| 作成日時：2013年12月27日 17時
