1138.【6】 ページ38
［翔にぃside］
何度も名前を
呼ばれてる気がするけど
瞼が重くて
なかなか開けられない…
うっすらだけど目を開けたら
目を真っ赤にして俺を見下ろす4人がいた…
「…めん、ね、ごめん…」
どれだけ心配掛けたんだろうと思って。
「ごめんね」って謝ったら、後から後から
涙が止まることなく流れてくる。
智「謝らなくていいよ、だいじょーぶ…」
ヒックヒックって子どもみたいに
しゃっくり上げる俺を、みんな笑顔で
受け止めてくれる。
智「もう無理しなくていいからね…」
「…りがと、う」
智「…ふふ」
「ごめんなさい」じゃなくて「ありがとう」で
いいんだ。
そう教えてくれた4人の存在が温かくて。
「…う、無理しない、から…泣かないで…？」
そう言ったら「こっちのセリフだよ〜」って
雅紀が涙を拭いてくれた。
その後、病室にきた先輩に頭を小突かれ。笑
先「胃の中が空っぽなのに薬飲んでただろ？」
「…」
先「調子悪いんじゃないかって聞いたよな？」
「…」
攻められる…笑
「助けて」って智にぃを見つめてみたけど
「だーめ。笑」ってあっさり返されて。
先「どこ見てんだ？話してんのは俺だろ？」
顎を掴まれて目を捉えられて…
「…めんな、さい…」
消えそうな声しか出ない。笑
先「兄ちゃんも弟くん達も、お前のこと
叱らないみたいだから、俺が叱ってやる。」
「はい…」
たっぷり叱られて、ほんとに反省した。と同時に
分かったことが1つ。
俺が潰れたって、あいつは報われない。
俺が倒れたことを知ったら、優しいあいつは
きっと自分を責めるから…
こんな簡単なことが分からなかったなんてね…
先「翔くん？」
「はい」
先輩は厳しかった顔つきから笑顔になって
「さっき意識戻ったって連絡きたよ？」って
教えてくれる。
「…んと、ですか？」
止まっていた涙が溢れ出す。
先「…よかったな」
智にぃ達も「よかった」って…
智「ここからは、みんなで考えよう？
一人で何とかしようとしないで。ね？」
「…っ、うん」
そうだよね。
俺の周りには、助けてくれる人が
沢山いるんだもん。
こんなに無茶しても「翔の優しさが
大好きだよ」って伝えてくれる兄ちゃんが
いるんだもん。
「一人じゃない」って改めて実感。
みんなにもらった優しさを
今度は俺があいつに分けてあげる。
「何もできない」じゃなくて、「一緒に
乗り越えよう？」って声を掛けてやろう。
そう思った。
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作者名：空
| 作成日時：2013年12月27日 17時
