1137.【5】 ページ37
［智にぃside］
『寝かせちゃって…』
先生と場所を
入れ替わる時、
そう言われた。
だいぶ興奮してるから、すぐには寝てくれない
だろうけど…
でも、この状況で無理矢理に連れていくのは
可哀想だからね。
翔「…いつに、あいつには、言わないで…」
さっきまで状況が掴めてなかったのに
病院に連れて行かれるとなって、親友の
心配を始めた翔。
「分かった。言わないから。ね？」
翔「…いつには、言わないで…？」
「ん…約束ね。言わないから」
また少し嘔吐しそうな素振りを見せたから
体を起こして凭れさせて後ろから抱き抱える。
先「我慢しないで出しちゃいな」
先生が口元にタオルを当ててくれながら
脈をみてくれる。
翔に聞こえないように「聴診器持ってきて
くれる？」って雅紀に指示した先生。
その間にも翔は「病院はいかない」「あいつに
言わないで」ってうわ言みたいに繰り返して。
俺は「わかった」って繰り返して胸元をさする。
和と潤も傍にきて、手を握ってくれてる。
先「翔くん、聴診だけさせてな？」
雅紀から聴診器を受け取った先生は
ワイシャツを引き出して器用に聴診する。
翔「…っ、おれ、だいじょ、ぶ…です」
弱々しく体を捩って抵抗する翔。
先「大丈夫なの分かってるから。な？」
先生が落ち着いて対応してくれるお陰で
翔もだいぶ落ち着いてきた。
翔「…かない、から、ね…？」
「ん…」
「いかない」って繰り返しながら
キョロキョロ周りを見て、俺らを確認した翔は
「心配かけて、ごめんね…」って謝ってから
クタッと体の力を抜いた。
先「そのまま完全に寝かせてあげて？」
「…はい」
ゆっくりと上下する胸に手を当てて
呼吸に合わせて優しくさする。
『翔の気持ちは分かってるから…』
そんな思いが届くように。
しばらくしたら、お酒の作用もあって
深い眠りに落ちてくれた。
そのまま病院に連れていく。
先「止血処置してもらうから
先に病室で休んで待ってて？大丈夫だから」
「お願いします」
雅和潤「…お願いします」
看護師に案内された病室に4人で入る。
雅「…ょにぃは優し過ぎるよ…」
「そうだね…」
自分のことみたいに悩んで、ストレスで
潰れちゃうんだもんね。
雅「でも…おれ、翔にぃの優しさ好き…」
「そうだね…」
和と潤もポロポロ泣きながらも頷いてる。
家族にも他人にも、ほんとに優しいもんね。
俺も大好きだよ、翔の優しさ。
優しい心をもってる翔を誇りに思うよ。
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作者名：空
| 作成日時：2013年12月27日 17時
