1113.【末っ子の夢遊病】 ページ13
［翔にぃside］
一晩病院に泊まって
検査を受けた潤。
診断名は
「睡眠時遊行症」
初めて症状に気が付いたのは
1週間前。
全員眠ったはずの午前1時過ぎに
パタン、パタンって階段を降りていく音がした。
和が具合悪くなってるなら大変だなと思って
確認したらリビングをウロウロしてるのは潤で…
食卓の周りを無表情で歩いてる。
異様な光景に頭が真っ白になりそうだったけど
俺はすぐに同じ様な光景に出会ったことが
あることを思い出した。
脳に腫瘍が見つかって緊急入院を迫られた
患者さんが、夜中に院内を歩き回って
いたことを覚えてた。
確か睡眠時遊行症…
潤を目で追い掛けながら、すぐに携帯で
検索してみる。
特徴的な症状が一致する。
申し訳ないなと思いながらメールで智にぃを
呼び出したら、すぐに起きてきてくれた。
さすがだよね。
智にぃはいつだって飛び起きてくる。
あんなに寝るの大好きなのにね。笑
俺は智にぃに携帯を見せて説明して
潤の動きを目で追う。
何をするでもなくグルグルと歩き回った潤は
1時間もしないうちに自分でベッドに戻り
寝息を立て始めた。
もちろん翌朝は何も覚えていなくて…
そのまま2日間は症状が出なかったけど、
3日目にまた夜中に起き出したから
「病院で調べてもらおう」って皆で話し合った。
そして、今に至る。
睡眠センターのスタッフが「近くに信頼できる
カウンセラーが居るのであればデータ送ります」
って言ってくれて、お願いすることにした。
遠くまで通うのは大変だし、潤にとっても
負担になりそうだから…
今だって「もう終わったんなら帰りたい」って
それしか言わないからね…笑
それでもさ、いざ帰るとなったら深々と頭を
下げて「ありがとうございました」って
カッコ良くお礼言うんだもん。
成長したなぁ、って思うよね。笑
潤「ねぇ、ご飯食べて帰りたいっ！」
車に乗った途端に末っ子全開だけど…
「そうだな。まっすぐ戻っても昼過ぎだもんな」
潤「やったっ！！」
「何食べたい？？」
潤「マック！！」
即答してニコニコしてる潤が可愛くて
思わず家に掛けた電話の声も弾んだ。笑
スピーカーにされてたらしく3人から口々に
「何そのテンション」「デレデレし過ぎ」って
からかわれた。笑
でも最後に『楽しんできてね〜』ってさ。
睡眠センターで一晩付き添って、不安がる潤を
ずっと見てたから、心がギュッと
苦しかったんだ…
そんな俺の気持ち、皆分かってくれてる…
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作者名：空
| 作成日時：2013年12月27日 17時
