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［翔にぃside］
処置室に入ってすぐ
2回目の吐血をした和。
意識も朦朧とし始めて
すぐに点滴が繋がれた。
消「…和くん？」
和「…いちゃ、ん？」
消「ん、そうだよ。治してあげるからね…
何も恐いことないからね…」
和「…ん」
薬で和を眠らせる前に、先生は優しく和に
声を掛けてくれて。
だから和も安心して目を閉じることができた…
「ここにいるからな…」
和「ん…しょ、にぃ…」
ギュッと握られていた手が次第に力が
抜けてきて…
消「寝たね…移動しようか」
「はい」
胃カメラして出血箇所があれば、そのまま止血の
処置をしてもらう。
この病院は経口のみだから、和はたいちゃんに
胃カメラしてもらうのは初めてだ。
眠ってるけど、きっと優しさは届くはず。
処置室を出たら少し落ち着いた智にぃがいて。
「処置してもらってくるね。
薬で眠らせたから大丈夫だから。
終わったらすぐ呼ぶからね？」
智「ん…泣いてない、ね…」
「そうなの…だから安心して待ってて？」
智「…ん、ありがと…」
智にぃは先生に「よろしくお願いします」って
頭を下げた。
すぐに胃カメラの検査が始まる。
消「かずくん…？苦しいことないからね、
ちょっとだけ我慢してね」
マウスピースを噛ませて、そっとカメラを
入れていく先生。
くたっとした体を支えて背中をさする俺。
温もりを感じていたくて、俺自身が必死…
消「出血箇所見つけたから処置するね〜」
どうやら2箇所あったみたい。
消「かずくん〜、治すからね〜」
止血処置も終わって胃の中も綺麗に
してもらった和は相変わらずスースーと
寝息を立てていて安心。
消「しばらく絶食の投薬治療だけど
入院はいつもの病室がいいよね？」
「不都合がなければ…」
消「ん、大丈夫だよ。」
先生は「落ち着いて入院できる環境の方が
治るのも早いだろうから」って笑って
また和の頭を撫でてくれた。
「ありがとうございました。
智にぃ？一緒にいこう？」
智「…ん。ありがとうございました。」
智にぃはしっかりした口調で先生と先輩に
お礼を伝えている。
もう大丈夫そうだね。
「しばらく入院だから、後で荷物とか
取りにいこうね。」
智「ん、分かった。ありがとね、翔。」
ふにゃっと笑う智にぃは、いつも通り。
「入院、嫌がるかな…」
智「ふふ…かもね。でも、これなら
嬉しいんじゃない？笑」
担当医のプレートを指差して笑う智にぃ。
たいちゃんの名前と俺の名前が並んで
書いてあるんだ。
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作者名：空
| 作成日時：2013年12月27日 17時
