959.【9】 ページ9
［雅にぃside］
意識を取り戻してから
3日が過ぎ、
潤は俺らに慣れつつある。
だけど、やっぱり緊張するのか
安心しきってないし、喋ろうともしない。
翔「潤？声出せる？しゃべってみて？」
智「お話してごらん？」
翔にぃが「喋れるはずなのに…」って
ボヤいてた。笑
都合が悪くなると目を瞑って逃げてしまう潤。
気持ちは分かるけどさ、そうされると
俺らの手段がなくなっちゃうんだよね…
翔「じゅーん？それ駄目。目、開けなさい」
ここは一番信頼されてる翔にぃの役目。
ほっぺを突ついて、開けるように促す。
翔「首振っても駄目。こら、じゅん？」
潤「…」
翔にぃは潤の手を握って「喋れるだろ？」
って優しく問い掛ける。
頑として黙りを続けようとする潤。
翔「そうやってても、良い事ないんだよ？
喋れないなら検査されちゃうよ？いいの？」
潤「…」
目を開けた潤は、目に涙をいっぱい溜めて
フルフルって首を振る。
ずるいなぁ〜、その顔。笑
俺なら、ここでギブアップ。
だけど翔にぃはそんな作戦には負けないらしい。
「そんな顔しても駄目だから」って
迫っていく。
翔「先生、言ってたからな？
このまま喋れないなら原因調べましょうって」
翔にぃが意地悪したらポロポロと涙が零れる。
翔「ほんとに喋れないなら検査。
喋れるなら、声を出しなさい。」
潤「…っ、…」
潤は両手をギュッと握って
声を出さずにしゃっくり上げて泣いてる。
こんなに厳しくされると思ってなかったのかも
しれないね。
ほら、俺らはさ、翔にぃが厳しいの
知ってるけど。笑
でも、ここまで厳しくされても潤は俺らには
縋ってこない。
自分から手を握ってくることも、しがみ付いて
くることもない。
やっぱり翔にぃは特別なんだなって分かる。
だけど今は、その翔にぃに厳しくされてるから
逃げ場がなくなっちゃったね…
でもね、潤。
この厳しさは優しさだよ？
だってこのままだと潤が嫌なこと尽くしだよ？
知らない先生達に検査されちゃうよ？笑
智「じゅーん？喋れるって言ってごらん？」
潤「…っ、んっ…」
智「ん？しゃべれる。真似して？」
潤「…ゃ…、れ…」
何か言おうとしたけどカスカスだ。
しばらく喋ってなかったからね。
それでも智にぃは潤の頭を撫でて「そうそう。
上手だね〜。もう1回ねぇ〜」って。
これだと声が出てるのか微妙なところだからね。
潤は智にぃに褒められて目を細めながら
翔にぃに向かって手を伸ばした。
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
