956.【6】 ページ6
［智にぃside］
高カロリーの輸液が
必要だからってことで
鎖骨からカテーテルを
いれることにした翔。
優しく声を掛けながら消毒してる。
ブルーの布を掛けて、それで和の視界も
遮ってやる。
雅紀が隣に座って和の肩を抱き寄せる。
和は「…ゅん、は、痛くないんで、しょ…？」って雅紀に確認しながら泣いてる。
看「失礼します。」
2人の看護師さんがサポートに入ってくれた。
和が恐がるんじゃないかって心配してたけど
気が付く余裕がないみたいで逆によかった。
翔は「お願いします」って頭を下げた後、
テキパキと指示していく。
翔「じゅん…？ちょっとだけ我慢ね…」
潤「…」
翔「ラクになる為だから、頑張ろうな…」
潤「…」
もちろん潤からは何の返答もない。
だけど翔は、一つずつ声を掛けながら
優しく優しく処置を進めていく。
翔「頑張れてるね〜、じゅん。
痛いのこれで、おしまいだからな〜」
潤「…」
翔「みんな居てくれるからね…
和も頑張って応援してくれてるから。な？」
翔の優しさに包まれた病室には
温かい空気が流れていて…
「じゅん…早く戻っておいでね…」
そう声を掛けずにはいられなかった。
大好きな翔先生が担当してくれるよ？笑
今なら独り占めしてもいいよ？笑
俺は、苦痛を伴う処置をされているのに
反応がない体をゆっくりさする。
足、動かしてごらん？
「いてーな！」って怒っていいよ？
そんな俺の願いは届くことないのかな。
いや、きっと届いてるよね…
心のどこかにきっと。
聞こえてるよね…？
［雅にぃside］
事故から1週間が過ぎた頃
翔にぃから、良い知らせがあった。
専門的な話で、正直良く分からなかったけど…笑
とにかく脳の方で良い反応が出てるらしい。
その日から、今まで以上に話し掛けて
マッサージして音楽を聴かせて。
できる事は、すべてやり尽くした。
そんな俺らの思いが届いたのか
数日後の深夜、翔にぃからついに連絡がきた。
『潤の意識が戻りました』
たったこれだけの言葉に、こんなにも
重みを感じたこと今までになかった…
ポロポロ泣き出した和を抱きしめて
俺も泣いた。
電話越しに翔にぃが泣いているのも
聞こえてきて…
智「ありがとね、しょう…」
そう言った智にぃも言葉に詰まる…
今すぐに会いたい。
「よく頑張ったね」って抱きしめたい。
そんな衝動を必死で抑えて、俺らは3人
リビングに布団を敷いて寄り添って眠った。
5人でいる様な、不思議な夜だった…
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
