1000.【8】スタート ページ50
［翔にぃside］
警察から連絡があって、
苦しめられていたことから
解放されても、智にぃは落ち着かない日々を
過ごしていた。
それでも、まるっきり外から出られなかった
日々を思うと症状は落ち着いた。
今は俺の出勤に合わせて通院して、心の
リハビリをしている。
カウンセリングの後は院内の散歩をしたり
医局を覗きにきたり…笑
屋上やカフェでパソコンをカチカチして
仕事もできる様になった。
ただ、やっぱりメールを開くのは勇気が
いるみたいで「先に見て？」って
言ってくることもある。
でも俺はね？
そうやって頼ってくれる様になったことが
嬉しいから。
いつまででもメールの確認しますよ？
そんな気持ち。笑
和「俺も作るっ！」
潤「俺もやるー」
家では双子も智にぃにべったり。
最近は早起きが苦手な潤も頑張って、
3人でワチャワチャお弁当を作ってる。
雅「智にぃ〜、おはよー！！」
雅紀もしっかり支えてくれてる。
口では「俺の靴下ない〜」「パン焼いて〜」
って騒がしく甘えてるけど。笑
そうやって自然に頼って
智にぃに信頼の気持ちを伝えられるのは
雅紀だけだからね。
俺はもちろん、双子もそれを分かって
感謝してるよ。
雅「智にぃ〜、中華丼作りたいから買い物
付き合って？」
智「ん。おっけ〜。
しょう…？…すり、くれる…？」
「もちろん。持ってくるからね。」
少量の安定剤を服用すれば、嫌な出来事を
思い出してしまう買い物にも
出掛けられる様になった。
少しずつでいい。
智にぃが安心して暮らせるようになればね…
俺らをいつも全力で守ってくれる智にぃ。
だから俺らも智にぃを全力で守るよ…
もちろん、智にぃの事だけじゃなくて
雅紀も和も潤も守る。
そうやって支え合ってきたんだもんね。
5人兄弟って存在が、こんなにも頼もしくて
励まされて支えられて、大切ってこと。
何かある毎に実感できるんだ…
そんなある日…
智「んふふ…新しいデザインできたの…」
そう言って部屋に入ってきて笑う智にぃは
しっかりと前を向いて俺を見つめてる。
見せてくれたデザインは智にぃのスタートに
ふさわしい素敵な作品で…
智「ふふ…ここに、みんなの優しさがね、
詰まってるの…」
指差したのは溢れ出す沢山のハート…
「ほんとだね…」
智にぃは俺にギュッと抱きついてきて「また
頑張るね…新しいスタート…」って笑う。
そうだね…
また、5人で一緒に歩いていこうね。
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
