999.【7】 ページ49
［智にぃside］
この2ヶ月で
少しずつ増えた薬。
見つかっても対処できる様に
1箇所に隠す量を減らして…って悪知恵も
働いて…
そんな自分が嫌いで仕方なかった。
翔「智にぃ？全部ちょーだい？」
フルフルって首を振ってみたけど
「もう必要ないから…」
「今度は俺らが守るから。ね？」って
翔は折れずに、優しく説得してくれる。
いつの間にか雅紀が隣に座ってくれて
背中をさすってくれて…
残り2箇所のところまで薬を出せた。
でも言い換えれば、ずっと頼ってきた存在を
失う寸前ってことで…
気が付いたら俺の体はカタカタ震えてた。
翔「頑張ってるね、智にぃ。あと少し…
どこにあるの？」
俺がいくら「ない」って言っても
「大丈夫だから、全部出して？」ってそれだけ。
「…そこ、最後…」
翔「ん。ありがとう…」
本棚の隙間から薬を取り出した翔は
俺をギュッと抱きしめて…
「智にぃ？俺さ、智にぃが嘘ついてる時は
分かっちゃうんだよ？」って笑って呟く。
「…んで？」
翔「なんでも。」
「…」
翔「何年一緒にいると思ってんの？笑」
声を出して笑った翔は、俺を体から離して
正面にしゃがみ込んだ。
「こっち見ててね？」そう言って笑った翔は
俺に目を合わさせて「どこ？」って
聞いてきた…
俺の負けだ…
震える手をのばして、着ているスエットの
ポケットから薬を取り出す。
翔は目を合わせたまま受け取って「これで
全部なんだよね？」って。
頷いたら、さっきより強く抱きしめてくれた。
「…すり、ない、と…、…れない」
翔「心配しなくても大丈夫。
俺がもっと効くやつを処方してあげる…」
「ゆめ、みたくない…」
翔「ん、分かってる。見ない様にするから。」
俺がポロポロ泣いて無茶を言っても
翔は動じることなく抱きしめたまま
優しい言葉をくれる。
落ち着くのを待ってくれて、リビングに
いったら駆け寄ってくる双子。
こんな、状況初めてだもん…不安だよね。
それでも、そんなこと一言も口には出さない。
和「俺、智にぃとお風呂！」
監視なんだろうけど、そんなの少しも
感じさせない、みんなの優しくて温かい
サポート。
嬉しさで心はいっぱいなのに
恐怖と不安がつきまとう…
翔「無理して寝なくていいから。」
「…すり、ちょうだ、い…」
翔「分かった。取りにいこう…ね？」
「ん…」
薬に頼っても翔は俺を叱らない。
「全部分かってるから…」
そう言ってくれてるみたいな安心感。
翔の隣でなら寝られる…
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
