991.【4】 ページ41
［翔にぃside］
5分くらいは我慢して
欲しいから丁度いいけど、
反応がなさすぎて
さすがに心配で…
「かず？大丈夫？」
声を掛けてみるけど、黙って頷くのみ。
智にぃと顔を見合わせて様子をみてたけど…
3分すぎくらいでガタガタ震えて
冷や汗をかき始めた。
それなのに「トイレ」って騒がない。
「かず？かーず？目開けて？」
和「…や」
「限界だろ？トイレ行くよ？」
和「…や、まだ…」
「もう十分だよ？」
無理矢理に体を起こしたら、小さく目を開けて
「…んばった？」って聞いてくる。
なんでそんなに「頑張る」ってことに
こだわるのか。
不思議に思いながらも手を引いてトイレに
連れていく。
「スッキリしたね。触るな？」
和「…ん、ごめんね、翔にぃ…」
蹴飛ばしたこと、まだ引きずってる…
だけど「なんでそんな気にするの？」って
目を合わせれば逃げられてしまうから。
真相が掴めないまま…
そんな状態のまま夜になって採血。
和「…だり腕は、こっち…。ふふ…」
小さく笑って俺の前に左腕を差し出す和。
「簡易採血じゃなきゃ嫌だ！」って騒いでた
人とは思えないよ…
「…いいの？始めるよ？」
和「…ん、…んばる。…んばるから」
そう言って目をギュッと閉じた和は
やっぱり大きく震え始めて。
智「すーぐ、おしまいだからね〜」
智にぃが励まし続けてくれた。
「頑張ったね、かず。すごいな〜、和は！」
今日は聞かれる前に褒め倒した。
そしたら小さく笑って「…よかった」って…
その顔が何かに怯えた様な、不安でいっぱいな
複雑な顔で。
俺は苦しさから解放してやろうって決めた。
翌日の午前中…
「気持ちいいだろ〜？」
和「…ふふ。うん、あったかい…」
大好きな洗髪してやってる。
この時間、和は病院ってこと忘れるくらい
リラックスして嬉しそうに笑うんだ…
和「ねぇ、翔にぃ美容師さんになれば？」
「へ？笑」
和「んふふ…だって洗うの上手だから」
「こんなのド素人だよ…笑
和くらいだよ？そんな褒めてくれんの。」
和は「え〜、こんなに気持ちいいのに〜」って
笑って頭にある俺の手を握ってきた…
もう…シャンプーついちゃうじゃん…笑
そう思いながらもギュッと握り返す。
「…どした？」
色んな意味を込めた言葉。
和にはちゃんと届いてくれたみたいで
ポロポロ泣きながら「わかんない」って。
「くるしい…」
「おうちにかえりたい…」
そう言って泣きながら手を強く握ってきた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
