988.【迷惑かけたくない…】 ページ38
［和side］
検査入院で
病院の屋上にいる…
芝生に寝転んで空を見るのが好きだ。
嫌な検査からも、恐怖からも一時だけど
解放されるから…
のんびりしていたら、ふと聞こえてきた会話。
実「前回の病院はさ、こんなんなかったよな…」
実「やっぱさ、メンタル重視だからじゃね？」
実「正直さ、面倒だよな。浣腸で中学生に
泣かれるとは思わなかったわ…笑」
白衣は着てない人達だけど、患者のことを
話してるってことは、違う病院の先生かな…？
そんなことを考えてる間にも会話は続く。
実「正直さ、担当医も大変だよな。
病気ってだけでも大変なのに、メンタルの
ケアもしなきゃなんだろ？」
実「だよな。俺なら、面倒な病院は避けたい」
実「暴れるの迷惑って分かんないのかね？笑」
実「いや、それは分かるでしょ。笑
心がついてこないってやつでしょ！！」
「アハハハ」って豪快に笑ってる2人。
「暴れる」「大変」「面倒」「迷惑」
嫌な単語が頭をグルグル回ってる…
そうだよね…
迷惑だよね、こんな患者…
午前中のカテーテルでパニックになった俺。
どんだけ迷惑掛けたんだろう…
俺の検査の時は、担当やだな。とか
思われてるんじゃないかな…
そんなこと思ったら落ち込む。
泣きそうになるのを堪えて目を閉じて
落ち着くのを待った…
翔「…かず？そろそろ戻るよ？」
体を揺すられて目を開けたら翔にぃが
優しく笑ってた。
「…んっ」
翔「…ちょ、どした…？」
起き上がってギュッと抱き付いたから
ビックリしてる。笑
「ふふ…なんでもない…」
翔にぃは何かを感じながらも「そっか、
冷えるから戻るよ？」って。
笑いながら立たせてくれた。
「ねぇ、あの人達だれ？」
翔「ん？あぁ…実習に来てるの。学生。」
「…そっか。俺のとこ、くる…？」
翔「お前のとこは来ないよ。大丈夫…」
きっと俺が恐がるから交渉してくれたんだね…
嬉しくなって、またギュッと引っ付いた。笑
翔「甘えんぼだな〜、お前は。笑」
笑いながら抱きしめ返してくれるから
安心する…
翔にぃの傍にいれば、大丈夫って思ったんだ。
だけど、俺の心は面倒くさいから
小さなことにいちいち反応して…
「嫌だ」「恐い」
こういう言葉が出そうになると「迷惑」って
言葉が頭の中を支配し始める。
翔「ちょっと刺し替えるね…？」
点滴が漏れてしまったから刺し替えなんだけど
翔にぃの言葉に反応できない…
翔「…かず？大丈夫？」
「…、…ん。…いき」
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
