986.【3】 ページ36
［翔にぃside］
雅紀と家の近くの
コンビニで待ち合わせして
連なって車を走らせて帰宅。
すぐに目に飛び込んできたのは
裸足のまま、ドアの前で立ち尽くす双子。
足も冷たいだろうに、庇うこともなく…
「ただいま。話は聞いてるから。入るぞ？」
冷たくなった手を引こうとしたけど
「いい…」って首を振る双子。
「よくないだろ？話しなきゃ何も解決
しない。そうだろ？」
問い掛けてみたけど「俺ら、いらない子
だから…」ってさ。
だったら気が済むまで反省させておくか…
雅紀は着ていたパーカーを脱いで和の手に
握らせた。
「じゅんも、ほら」
俺も着ていた薄手のコートを潤の手に
持たせる。
それから雅紀は車からブランケットを
持ってきて玄関前に敷いてやった。
「足、冷たいだろ？この上に立ってなね…」
って。
でもやっぱり頑なに首を振る和と潤。
「先に俺らで話そうか…」
雅紀と頷き合って、少し心配だけど
家の中に入った俺ら。
智「あ…おかえり」
疲れきった様子の智にぃを見て
ちょっと心配になる。
智「和と潤は？」
「あ、うん。入る様に言ったんだけど。
まだ気持ちの整理ができてないみたいで…」
智「…そっか」
ソファーに座って詳しく話を聞きながら
自分達の気持ちも伝え合う。
智にぃは「理由なくやったとは思ってない…
でも、それでも許せない」って悔しそうに
唇を噛む。
そうだね…
俺だって同じ気持ちだよ、智にぃ。
でも、俺らが家族なんだから見捨てちゃ
いけない。
「知らない」って突き放したら、あいつらの
居場所がなくなっちゃうから。
家族ってそういうものでしょ？
智にぃが教えてくれたんだよ…？
俺はキュッと智にぃに引っ付いて
一生懸命話した。
智にぃが双子をこんなにも突き放したのは
たぶん初めて。
苦しかったんだろうね…
「…ごめんね」って俺らに謝りながら
ポロリと涙を零した…
少しして俺らも落ち着いてから
和と潤を迎えにいく。
ブランケットに上がることもなく
パーカーもコートも持ったまま立ち尽くしてる。
目を真っ赤にして、俺が見つめても
微動だにしない。
「寒かっただろ…おいで？」
冷たくなってる足が痛々しい…
「分かってるから…でも、いつまでもそこに
居たって後戻りはできないだろ？」
コクコク頷きながらポロポロ泣き出す双子。
戻れるなら戻りたいだろうね…
間違えてしまう前に。
でもね、それが出来ないってこと
ここでしっかり学んで欲しいと思う。
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
