985.【2】 ページ35
［智にぃside］
学校から掛かってきた
1本の電話。
「万引きの疑いで通報があったから
事実確認をお願いしたい…」
担任の先生は「お店の方も、和くんと潤くんの
名前を知っているわけではありません」って。
「ただ、両親がいないって言ってる6人
グループだって言われたから
あくまで確認です」って。
学校の先生も色々大変だね…
俺は「確認次第、折り返します」って伝えて
電話を切った。
でも俺には引っかかったことが一つ。
お店側は「きちんと反省して謝罪すれば
警察には通報しない」って言ってくれてる
らしいけど。
それってさ、やましいことがあるんじゃ
ないの？って。
あいつらが理由もなく万引きなんて
するわけがない。
兄として、そこだけには自信があったから
信じようって心に決めて双子の帰りを待った。
和潤「…ただいま」
いつもより少し遅めに帰宅した双子。
そのままリビングのソファーに座らせて
「何か言うことはない？」って問い掛けた。
途端に気まずそうに視線を泳がせて…
「やりました」ってことか…
『理由があったんだろう』
つい少し前まで、そんな風に冷静だった自分に
腹が立つ。
理由があればやっていいのか？
天国で泣いてんだろーな…
そう思ったらつい声を荒げてしまった。
「何したか言いなさい！」
ビクッとして、必死で目を逸らしてくる双子。
でも潤は少しして、決心したような顔をして
「これ、万引きした…」って。
鞄の中からシャープペンと小さなノートを
出してきた。
そしたら和もそれに続いて「これ…」って
シャープペンを2本出す。
「何やってんの？」
「バカじゃないの？」
「何考えてんの？」
双子の体をドンッと押しながら思わず怒鳴る。
だって万引きってね…
あり得ないでしょ…
和潤「…めんな、さい」
双子は俺を見つめて謝ってくる。
分かってる。
和と潤の心の中は、すでに反省と後悔で
いっぱいだろう。
でも俺は掛けてやる言葉を見つけることが
できなくて…
そして何より、許す気持ちにはなれなくて…
「理由があっても
やっちゃいけないことだろ！」
「今すぐ出てけ！」
「顔も見たくない！」
まくし立てて玄関の外まで追い出した。
鍵をしめて大きなため息をつく。
自分一人じゃ、先に進めない気がして…
もうすぐ帰宅するであろう翔と雅紀に
簡単にメールを送った。
2人から返ってきたメールは「帰ったら
3人で話そう」って優しいもので…
俺は体から力が抜けるのが分かった。
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
