5人で生きてゆく…part20 (ページ24)

今日:9 hit、昨日:32 hit、合計:1,144,535 hit

974.【10】ページ24

［翔にぃside］

病院に向かう車の中でも
「すぐ治しちゃうから。
ほんと、ごめんね？」って
反省した様子の雅紀。

雅「え～？レントゲンなんて大袈裟でしょ～」

整「いや…。折れてると思いますよ？…笑」

雅「そうなの？うそ…？どーしよ、翔にぃ…」

たまたま後輩が診てくれて、騒がしい雅紀の
相手もしてくれた。

後輩の言葉通り、左手の中指がポッキリ…

整「よく我慢してましたね…」

雅「…うん、ごめんね？まさか折れてるとは
思わなかったからさぁ…」

骨折と知って少し堪えたのか「すぐ治る？」
って不安そうな表情。

整「そうですね。ギプスしましょうか。」

雅紀は見た目が大袈裟になるのを避けたいのか
「固定する程度で何とかならない？仕事も
あるしさぁ…」なんて最もらしい理由で
ギプスから逃れようとしてる…。笑

「いや、ガッチリとギプスで固めてやって？
そうでもしないと、こいつ無理するし。」

整「…笑。ですね。」

雅「…」

俺に余計なことを言われて少し落ち込んでる
雅紀。

でもね、落ち込んでる暇はないんだな…笑

整「でも、ギプスの前に整復ですね。笑」

ほらね？

雅「んっ？」

「整復」の意味が分からない雅紀に
「引っ張って、骨を元の位置に戻す」って
丁寧に説明してくれてる。

ついでに「痛みますが、すぐ終わるので麻酔は
しませんね？」って。笑

雅紀は何も分かってないから
素直に左手を差し出した。

何も知らないって、こえーな。笑

台の上に乗せられた左手を掴んだ後輩。

雅「あっ…いてっ…」

触られただけで、かなりの激痛だろう。

右手で医者の手を掴んで
なぜか首を振る雅紀。笑

「まさき？右手降ろしておいて？」

このままじゃ整復されてる最中にも
右手が出てきそうだからね。

雅「…」

俺は動こうとしない雅紀の右手を捕まえて
膝の上でギュッと握った。

励ましの意味も含めた固定ね。笑

整「じゃあ、整復しますね？」

「声出しても良いけど、暴れんのはなしな？」

目を閉じて頷いた雅紀。

かなりの痛みを伴う処置だってことに
今更、気が付いたみたい。笑

整「はい、ちょっと我慢しましょう。笑」

雅「うっ、あっ…いたいっ！！
あー、あー！！…んっ、んっ、あー！！」

処置室に響いた雅紀の大きな声。

こんなに大声出して痛がってたくせに
家に帰ってからは一言も弱音を吐かない。

「大丈夫だよ～！ほらね？」ってさ。笑

優しい雅紀の笑顔に和だけじゃなくて
俺らも助けられてるよ。

ありがとな、雅紀。