5人で生きてゆく…part20 (ページ21)

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［雅にぃside］

手のこと話そうか
どうしようか…

そんなことで頭がいっぱいのまま帰宅した俺。

すぐに和が家出したことを知らされて。

結局、怪我の話なんてできずに今に至る…

翔「ほんとだな？じゃあ、待ってるからな？」

潤「はい…」

どうやら、本気モードの翔にぃを恐れた和が
「帰る」って言い出したらしい。笑

まぁ、それが利口な選択だと思うよ。

翔にぃに敵うはずないんだから…

［潤side］

和「…えっても、…りょう、しない、から…」

帰り道でブツブツ呟く和。

「治療するわけじゃないから」って
何度も言ってる。

「それは翔にぃと話すことだろ？」

和「…じわる」

プイッとして膨れて可愛いやつ。笑

「ただいまー」

和「…」

玄関入ってすぐ翔にぃが突っ込んできて…

翔「…バカ！こい！」

和の腕を捕まえる。

和「…っ、やだ…、…がう…」

翔「何が違うんだよ？いいから、こい！」

和「ちがう！治療する、んじゃない…」

腕を離させようとして暴れるけど
翔にぃはそれより強い力で掴んで離さない。

翔「話は聞いてやる。だから、こっちこい！」

和「…だ、やだっ！」

グイッと引っ張られた和は「さとにぃ…、
助けて」って。

やっぱり、和にとっての一番の強敵は
兄貴でもあり担当医でもある翔にぃなんだね…

智にぃは、さらに力を込めて引っ張る翔にぃを
一旦止めてから、目を潤ませてる和に
そっと話し掛ける。

智「かず…？まずは、ごめんなさい。しよう？」

ペコッと頭を下げて、そのままヒックヒックと
泣き出した和。

和「…っ、んっ、ごめ、んっ、なさい…」

智「ん。分かってるよ…、苦しかったね…」

智にぃは和をギュッと抱きしめて落ち着かせる。

背中をポンッ、ポンッと同じテンポで叩いて
何だか俺らの心まで落ち着く感じ。

智「和がしなくちゃいけないのは家出じゃ
ないでしょ？」

智にぃは和が落ち着くタイミングを逃さず
声を掛けてくれる。

智「納得できないなら、担当の先生と
きちんと話しなさい。」

和はコクンと頷く。

智「翔ね、いっぱい心配してくれてたから。
ちょっと怒ってるけど、大丈夫だから。ね？笑」

和「…ふふ」

智「ん。じゃあ、いっておいで？」

智にぃは和の背中を優しく押して
翔にぃの方へと促す。

翔「はい、こっち。」

まだまだ優しくする気はないらしい翔にぃ。笑

振り返った和の顔が不安そのもので
可愛くて思わず笑っちゃった。

和は腕を掴まれて部屋に連れていかれた。