966.【2】 ページ16
［翔にぃside］
元気な時の和は
パワフルだ。笑
今はコントローラーだけど
今朝は携帯とマグカップが飛んできた。
分かってやってることだし、当たらないように
加減もされてるから暗黙の了解で叱ってない。
和は今、ちょっぴり辛い時期だからね…
「診せて？」
和「…り、むり！！」
ソファーにうつ伏せに寝転んで不貞腐れてる。
でも、左腕をダランと出してるからね。
これは「診ていいよ」って合図。笑
ほんと素直になれないんだから…
「ちょっと触るからな？」
ピクリとも動かないけど、触らせてもらう。
「よしよし。左腕は大丈夫だね…」
和「…」
プイッて顔を背けて、起き上がった和は
黙ってそのままゲームを始める。
笑っちゃうよね、まったく…
智にぃ達と顔を見合わせて苦笑い。
早く解放してやりたいんだけどね…
そしてやってくる治療の時間。
智にぃは宥め役ってことで手伝って
もらってない。
3対1になると、また拗ねちゃうしさ。笑
和「入ってくんな！ばかっ！」
俺と雅紀が部屋に入れば怒って怒鳴って…
枕とマンガ本が飛んできた。
雅「大事なマンガ投げないの〜」
雅紀は優しく笑ってベッドサイドに座る。
和「ん〜…、ここ、だめ！」
雅紀を押し出そうと必死になってる間に
俺はテキパキと準備を進める。
今回の治療、もちろん恐がってはいるんだけど
それより痛みに対しての拒否が大きい和。
「まさき〜？お願い。」
雅「ん。了解。」
和「…！やだっ！やめろっ！」
俺の合図で雅紀が体重をかけて抑え込む。
2人で固定っていっても、雅紀が1人で固定
しているようなもので、俺はほとんど…
刺す方に専念しちゃうからね。
雅「…！うっ…いて…笑」
ほぼ腕しか固定してないなら和のキックが
ヒットしたみたい。
それでも雅紀は「ごめんねぇ。嫌だもんね」
って優しく宥めてる。
「かずー？すぐ終わらすからな。
雅紀もごめん。」
和「ん〜…」
「はい、ちょっと我慢〜」
和「…っう、ん〜…」
薬を注入してる間は、かなりの痛みを伴う。
その証拠に、和はこの間だけは唸るだけで
言葉を発せられない…
目をギュッと閉じて耐えるのみ。
和「…ん、う…っ…」
「はい、おしまい。」
和「…っ、ばかっ！…っちいけ…」
雅「かず！…ちょっと待って…？」
和「…なせ、ばかっ！」
涙目になって怒ってる和をなるべく
落ち着かせる。
今朝はここで逃げられたから、雅紀が
気を利かせて先に後ろから抱えてくれた。
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
