5人で生きてゆく…part20 (ページ2)

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［智にぃside］

翔「大丈夫だから…
意識が戻るのを待つだけ…」

智雅和「…」

翔「大丈夫、だから…」

智雅和「…」

翔「…んで？なんでだよ！
大丈夫って言ってんだろ？何とか言えよ！！」

ICUの前でポロポロ涙を零しながら
俺らに向かって怒鳴る翔。

俺だってさ、信じたいよ？

翔の大丈夫って言葉、信じたい…

でもさ「可能性はゼロではありません…」って
執刀医の言葉が頭から離れないんだよ…

翔「…ゃあ、じゃあさ…」

翔の怒った様な、失望した様な声が
静かに響く…

翔「俺らが信じないで、誰が信じんの…？」

ベッドに寝せられた潤は挿管されて
ただ器械的な呼吸をしているだけ。

あれが我が家の末っ子だなんて
信じたくない…

和「…れの、おれの、せい…」

和が泣きじゃくりながら呟いて
ペタンと座り込んだ…

［雅にぃside］

3.4日前から小さな発作を起こして
苦しんでた和を心配するあまり
事故に遭った潤。

「信号も見ずに飛び出した」って、目撃してた
人達の証言があるから…

きっと学校から帰る途中で焦ってたんだろう。

「俺のせい」って自分を責める和の隣で
「いや、俺のせいだよ…」って智にぃが
呟きながら、涙を零す。

潤は今朝「和が心配だから、学校休みたい」
って智にぃに訴えてた。

もちろん、智にぃの答えはNO。

たぶん智にぃはそのことを悔やんでる。

でもさ？

こうなるって誰にも分からないじゃん…

俺だって学校に行かせたと思う。

そう言おうと思ったら、智にぃがポツポツ
話し出した。

智「…ゅん、さ。たぶん、夢、見たんだ。」

「ゆめ？」

智にぃは俯いたまま「たぶん、和の夢。
それで、不安だったんだと思う。もっと、
話し聞いてやればよかった…」って。

そうかもしれないね。

だから周りが見えなくなるくらい焦って…

それで飛び出して…

翔「…としても、さ…？
誰か、予測できた、の？こうなるって
予測は、誰にも、できない、じゃん…」

「そうだね…、潤ですら、予測できないよ…」

翔にぃは俺の言葉にコクコク頷いて
「…からさ、誰の、せいで、も、ない…
みんな、で、信じようよ…」って泣いてる。

「うん。みんなで応援しなきゃ、
パワー足りない、もん、ね…」

溢れてきた涙を拭って精一杯の笑顔を向ける。

「俺らがこんなんじゃ、潤に笑われちゃう。
ね？そうでしょ…？」

智「…ん」

「ほら、かず？」

和「っん、じゅ、ん…」

頷いた和は俺にしがみ付いて
声を上げて泣き出した。