939.【2】 ページ39
［智にぃside］
ちょっとしたことが
引き金でパンクした潤。
少し時間をあげれば
翔のことは大丈夫になると思うんだけどね。
俺は引っ付いてくる潤の顔を覗き込んで
問い掛けてみる。
「翔はね、潤のことが大事で大事で
たまらないから、怒鳴ったんだよ？」って。
でも、その途端にフルフル首を振って
大粒の涙を零してさ「嫌だ」「ごめんなさい」
って。
相当堪えたみたいだね…
ただ黙って抱きしめることしかできない。
高熱で体も熱いから、休ませてやりたいし…
潤「…ょ、にぃ、やだ…こ、わい…」
「ん。分かった。出ててもらおうね。」
翔には悪いけど、このままじゃ休めないから。
シュン…として、翔は病室を出ていった。笑
ごめんね…後でちゃんとフォローするからさ。
背中に向かって俺は精一杯伝えたつもり。笑
潤「…いこ、に、するか、ら…」
潤は俺の腕の中で「嫌いにならないで」
「怒らないで」ってうわ言みたいに
繰り返しながら眠った。
ベッドに寝かせる前に翔を呼んで
診察してもらう。
翔「ほんと可哀想なことしちゃった…」
聴診しながら翔は悔しそうに唇を噛む。
カッとなる気持ちは分かる。
俺だってカッとなって、翔のこと思い切り
怒鳴ったからね。
お互い様。笑
ぐっすり眠ってる潤はピクリとも動かない。
ここ数日、ゆっくり眠ることも
できてなかったんだろうね…
和の体調が悪い時は、潤の体調も比例する。
分かってるつもりなんだけど、
どうしても後回しになるっていうか…
危機感がないというか…
翔は氷枕を当ててやりながら
「ごめんな…」って優しい顔して
頭を撫でてる。
「大丈夫だよ。こいつさ、お前のこと
大好きじゃん。」
翔「ん…」
「すぐまた翔にぃ！って呼んでくれるよ。」
翔「ん…」
弱気になっちゃって、潤んだ目で
「ほんと？」って。
「当たり前じゃん。どんだけ、翔のこと
好きだと思ってんの？笑」
そう言ったら、翔はやっと笑って仕事に
戻っていった。
「ほんとにいいのね？」
潤「…ん、…ょにぃ、こわい…」
夕方になって目を覚ました潤が「担当は
翔先生じゃ嫌だ」って言い出したんだ。
「分かった。でも、その前に潤にもちゃんと
考えてもらう。」
退行し始めてる潤にはちょっと厳しい気がして
迷ったけど、でもこのままじゃ翔が
可哀想すぎる。
それに潤にとっても、本当の安心にはならない
って思うから。
俺は、すでにフルフルと首を振って先を拒んで
逃げようとする潤の腕を掴んだ。
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作者名：空
| 作成日時：2013年9月28日 14時
