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［翔にぃside］
その夜は、
お腹を温めてやりながら
智にぃと交代で
付きっきりで看病した。
ここまでの重症は初めてだから、
もちろん俺らも不安だけど…
でも和の不安とか苦痛に比べたら
ちっぽけなもんだって思うから。
明け方になったら熱も上がってきちゃって…
もう処置してやろうかとも思ったんだけどさ、
家に雅紀も潤もいるから、
和も落ち着けないだろうと思って。
もちろん雅紀と潤には話はしてあるけど。
朝まで待って、いつも通りに2人を送り出して
部屋には3人だけ。
病院で患者さんの摘便処置するときも
極力、スタッフは少なくするからね。
その方がさ、少しは落ち着くでしょ。
智「かずー？冷えピタ張り替えるね…？」
和「…ん」
俺が準備してる間に智にぃが和のこと
リラックスさせてくれてる。
看病してくれる智にぃの手は
魔法の手だもんね。
智「はい、これ抱っこしててね〜」
タオルに包んだ湯たんぽを抱っこさせて
ズボンとパンツを脱がせた智にぃ。
さすがに和の表情も不安そうだけど
それでも「嫌だ」って暴れ出さないから
頑張ろうとしてるんだろうね。
「智にぃ、ありがと。かず？膝曲げててな？」
頭を撫でながら声を掛けたら、
コクンって素直に頷く。
熱が高いだけでも辛いだろうに、これから
やらなきゃいけない事を思うと気が重い。
でも、これさえ終わればラクになれるから…
俺は自分に言い聞かせてグローブをはめる。
「まずは座薬入れるからね。ふぅーって…」
コクンと頷いて和が何度か深呼吸するのを
待って座薬を入れる。
これで少し柔らかくしてやれれば
ちょっとはラクに処置できるからね。
タオルケットを掛けて背中をさする。
和「…たい…？」
涙目で振り向いて、不安そうに聞いてくる。
目を見てコクンと頷いてやる。
痛くないとは言えないから…
「我慢できないくらい痛かったら教えてな？」
和「…ん」
すぐに「痛い痛い」って喚かれても困るけど、
反応がなさ過ぎるのも怖いからね。
こいつが俺に処置されるのでいいって
言ってくれたんだ。
その信頼を裏切りたくないし、
出来るだけラクに、リラックスしてる状態で
処置してやりたい。
摘便は羞恥心も苦痛も伴う、患者さんに
とっては辛い処置だけど、信頼関係で
乗り越えられる部分も大きい。
「かず？始めていくな？」
和「…ん」
「直腸診してもらった時みたいに
力抜いてて？」
和「…ん」
よし、ここまではいい感じだ…
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作者名：空
| 作成日時：2013年9月28日 14時
