858.【8】検査 ページ8
［雅にぃside］
和「…や、…るま、や…」
車のドアの前でガクッと地面に
座り込もうとした和を、翔にぃと車に乗せる。
和「びょ、…んかな、い…」
和は「おりる」って暴れるけど
翔にぃが、腕の中に入れて「大丈夫」って
声を掛けたら、泣きながらしがみ付く。
予め許可もらっておいてくれたから
裏口に車を停めさせてもらう。
カ「おはよう。来れたね。」
カウンセラーが迎えにきてくれて
「えらいね〜、和くん」って優しく笑う。
もちろん和は車から降ろされまいと
必死になって翔にぃに縋ってるから
それには気が付いてないけど…
それでもさ、こうやって勤務時間外なのに
和の為に来てくれることが
俺ら家族からしたら、ほんとに嬉しい。
和「やー、…りない、…りない」
翔「かーず、だいじょうぶだから。」
和「やー、やだっ…ぎゃー！」
無理矢理に車から降ろされて
アスファルトの上だけど構わず反り返る和。
カ「よっぽど恐い夢みたんだね。」
カウンセラーの言葉に、和を抱え込んでいる
翔にぃが黙って頷いた。
智にぃが車を停めに行ってる間に3人で
引きずるようにして院内へ。
辛い時間が長くならないようにって
このまま検査してもらえることに
なったから検査室に直行。
和「やー、やだっ、ぎゃー！」
カ「かずくん、翔先生だから恐くないよ？」
和「んっ、…えがいい、…えりたいっ！」
カ「そうだね、すぐ終わりにしてもらおうね」
和「やー、…きないっ、…きないっ」
俺らにいくら引っ張られても、何とかして
ドアの前に這っていこうとする和。
完全にパニック状態で
いつもの和ではなくて…
それでも検査するしかないから。
翔にぃが準備しに抜けたタイミングで
俺らも和の服を脱がせにかかる…
和「…だ、やだっ、…んない、…んないっ」
「ごめんね〜、ボタン外すね〜」
和「ぎゃー」
外させまいと阻止してくる手を
智にぃが抑えてくれて、蹴り上げてくる足は
カウンセラーが抑えてくれる。
和「やー、…がないっ、…がないっ」
首をブンブン振ってギャンギャン泣いて…
こんなに意思表示してるのに
何一つ受け入れてもらえないって
一体、どんな気持ちなんだろうって…
俺は、そんな経験したことないからさ…
よく人間不振に陥らないなって思う。
これでもかってくらい猛抵抗してるのに、
受け入れたくなくて…頑張って着た制服の
ボタンもあっさり外されて。
何もかもさ、和の思った通りにならない。
ごめんね、かず…
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作者名：空
| 作成日時：2013年9月6日 7時
