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［翔にぃside］
雅「着替え用意してくる」
智「あ、ありがとね。」
雅紀は念の為に和の着替えをバッグに
用意してくれた。
和は学校に行こうとしてたから、
ちゃっかり制服着てる…
着替えさせるのは不可能に近いから
これでいっか。
多分ね、病院のスタッフは
なぜ制服なのか、みんな分かってくれる。笑
「かず…？」
和「いーやー、こわいー」
「うん、恐いね…」
傍に座ろうとしたら、必死になって後ずさる…
でも、見てた智にぃが近くに座って
優しく声を掛け始めてくれた。
智「翔がね、ずっと一緒にいてくれるって。」
和「やー、けんさ、…ない、こわい…」
智「検査もね、翔がしてくれるって。
恐い先生来れないように、翔の病院に
行くんだって。」
智にぃはフニャッと笑って「ね、翔？」って
問いかけてくる。
うん…俺らが守ってあげる。
「かず…恐くないように一緒にいるから。」
和は泣きながらも顔を上げて俺を見つめる。
「おいで？一人で泣いてたら、寂しいだろ？」
座って目線を合わせて両手を広げる。
ここで誰かに縋れるのと縋れないのとでは
心の負担が全然違う。
俺はチャンスをくれた智にぃに感謝して
無駄にしないように、じっと待った…
和「しょ、にぃ…、…っしょ…？」
和は小さく呟いて潤のタオルで
ゴシゴシ涙を拭く。
「うん、一緒にいようね。」
和「…」
和はキョロキョロして何かを確認してる。
ここで焦ってしまっては逆効果だ…
ただ黙って和が動くのを待つ。
和「…っしょ、に、…て？」
「うん、一緒にね…」
和「…」
「…おいで？」
和「ん…」
和はやっと、俺の胸の中におさまってくれた。
「いいこだね…守ってやるからな…」
和「んっ、ん…わい、こわい…」
胸元のTシャツをギュッと掴んで
声を上げて泣き出した和。
その背中をゆっくりさすって
「一人じゃないよ」って伝えていく。
俺にできるのは、これが精一杯。
でも、さっきまでは体に触れることすら
出来なかったから…
智「俺が運転するから。和のことお願いね」
荷物を持って先に立ち上がった智にぃの
後に雅紀も続く。
「かず？立てる？」
和「ん…っしょ…？」
「うん、一緒ね。」
縋れたことで、だいぶ情緒が安定した和。
もちろん、このまま順調にいくとは
思ってないけど…
でも、この少しの時間でも
自分の意思で足を進められれば後々
絶対にラクだから。
和「…んっ、くるま…だ。」
「んーん。だいじょーぶ」
雅「ほら、おいで？」
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作者名：空
| 作成日時：2013年9月6日 7時
