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894.【8】 ページ44

[智にぃside]

和の腕の中で
落ち着いてきた潤。

俺らが触れても怒らなくなった。

でも、それにつれて気になることが…

「ごめんな?」

潤「…」

小さくニコッと笑って頷くのに
潤はコクコクと首を動かすだけで
声を出そうとしない。

胸元に頭を押し付けて甘える潤の顔を
翔が覗き込む。

翔「じゅん?声、出ない…?」

潤は翔の顔を見ようとしないで、また頭を
押し付けようとする。

翔「だめ。答えて?声、出ないの?」

顔を抑えて翔がゆっくり問い掛ける…

潤「…ん。…る。でる、よ…?」

一気にホッとした空気に包まれる室内。

和「よかった…」

翔「足は?痛いの?」

潤「ん…いたい」

時々、潤が痛がるような表情をするから
気になってたんだ…

足が原因ってこと、翔は気が付いてたみたい。

翔「ちょっと診ていい?フットサル?」

潤「ん…」

コクコク頷きながら、今度は雅紀に
引っ付いて甘えてる。

潤「っ、あっ、んっ…、…たい」

翔「ごめん、ごめん。痛かったな…」

翔が足を少し動かしたら苦痛の声を上げる。

翔「レントゲンだけ撮ってこような。
たぶん捻挫だと思うけど。」

潤「…ょういん?」

翔「うん。すぐ帰って来れるから。いい?」

不安そうな顔をした潤だけど
コクンと頷いてくれた。

潤ならレントゲンくらいヘッチャラだろう。

でも「さと、にぃも」って甘えてきたから
俺もついてきた。

救急外来で撮影してもらって、
看護師さんに別室で包帯巻いてもらってる間に
俺らはレントゲンを見ながら話を聞く。

どうやら、軽い捻挫で済んだみたい。

先「捻挫の方は安静にしていれば心配は
いりませんが…」

顔を曇らせた先生の衝撃的な一言…

先「潤くん、耳の聴こえが悪い様な気が
します…」

翔と2人で思わず「えっ?」って
聞き返してしまう。

でも、確かに何か違和感はあったから
「声出ない?」って確認したりもしたけど…

先「たぶん左耳です。お兄さん達の唇の動きで
聴こえずらくても、だいたいのことは
分かるんだと思いますが」

智翔「…」

先「診察の時、私の問い掛けにも答えられて
いました。ただ、背を向けて作業しながら
左側から指示を出したら、まったく動こうと
しなかったんです」

智翔「…」

整「確認してみて下さい。
たぶん、潤くんも気が付いてます。」

言葉が出ない俺らに先生は優しく笑い掛けて、
包帯を巻き終えて支えられて歩いてきた潤にも
「お大事に」って優しく笑い掛けてくれた。

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作者名: | 作成日時:2013年9月6日 7時

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