887.【末っ子の寂しさ】 ページ37
［雅にぃside］
1週間前から
体調の優れない和。
体温も上がったり、下がったりで
安定しないから家では誰かが
付きっきりで看病してる。
翔「潤、遅くない？」
「昨日も注意されたんだけどね…」
そんな話をリビングでしてたら
ガチャンッて玄関で音がして。
潤「…だいま。」
不機嫌そうな潤が帰ってきた。笑
翔「おかえり。お前、遅くなるなら連絡しろ」
潤「あ、翔にぃ居たんだ…」
翔「居たんだじゃねーよ。笑
連絡しろって言ってんの。」
潤「分かってんよ！忘れてたんだよ！
うっせーな！！」
俺の「ご飯は？」って声を無視して
リビングを出ようとした所で智にぃと
バッタリ。
智「おかえり、潤。昨日、言ったよね？
連絡しなさいって。ん？」
智にぃは有無を言わせぬ勢いで
潤をソファーに座らせた。
「やばい」って顔をしながらも、今の潤は
素直にはなれないみたい…
智にぃに迫られて不貞腐れてる。
智「楽しいのは分かるけどさ…
連絡くらいできるでしょ？」
潤「…だから、忘れたんだってば」
智「昨日も言われたのに？」
潤「ん。」
智「そう。じゃあ、次からは忘れないでね？」
潤「…ん」
今回は智にぃが譲るつもりらしい。
智「ご飯は？」
潤「…べてきた」
智にぃはフニャッと笑って「今日は翔が
作ってくれたから、朝ご飯にとっておくね」
って、背を向けて歩いていく潤に向かって
声を掛ける。
翔「まったく…しょーがねーな。」
智「誰かさんも、あんな感じ
だったけどね。笑」
イライラすることもあるよね。
誰にだって反抗期はあるんだから。
俺らは「そのうち落ち着くでしょ」って
笑って片付けたんだ…
この時にもう少し、潤の心の奥底にある
気持ちに気が付いてやれれば良かった。
いけないことした時は「潤？」って
呼び掛けるのに、そうでない時は和のことに
気がいってしまって。
俺らは和が発病した時からずっと、
「和の病気のことで、潤に寂しい思いを
させるのだけはやめよう」「潤も和も
どっちも1番に気に掛けよう」って
約束してたのに…
いつの間にか、そんなに手が掛からなくなって
少しだけ大人になった和と潤。
俺らはそれに甘えて、大事なことを忘れたね…
「和、大丈夫かな？」って、いつも和を
大事にしてくれて…
強くいなきゃ、頑張らなきゃって…
和の体調が悪い時ほど
自分を追い込むのが潤なのに…
俺らはこの時、そのことを忘れてた。
潤が意地になってたのには
ちゃんとした理由があったのにね…
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作者名：空
| 作成日時：2013年9月6日 7時
