809.【9】潤の気持ち ページ9
［智にぃside］
元気になる為とはいえ
体に強い薬を
入れられた和の
体調は優れなくて。
ガラスごしで見ていても分かる程
痩せてしまった体が痛々しい…
面会の時間は頑張って笑顔を見せている潤も
家に帰ればボロボロで…
「…んで、かず、なの…？」
「おれ、だって、よかった…のに…」
そう言ってポロポロ泣き出す。
潤「…らない、食べたくない…」
ついに食欲までなくなってしまって
「食べたくない」って訴える。
雅「潤？食べないとさ、潤まで入院に
なっちゃうよ？」
潤「べつに…それでも、いい…」
本心じゃないことを並べて
精一杯に強がってる潤。
でも、食べてもらうしかないから
ちょっと厳しくしてみる…
「面会連れてかないからね。」
潤「え…」
「だってそうでしょ？ご飯もきちんと
食べれない人に励ます力があると思う？」
潤「…」
「今の潤に応援されても、和は嬉しくないと
思う。だから、面会には連れていかない」
潤「やだ…」
「やだじゃない。」
潤はポロポロ泣いて、隣の雅紀に引っ付いた。
雅「ほら、頑張って食べよう？
潤が元気な姿見せてあげたら、
和も頑張ろうって思えるんじゃない？」
潤「んーん…いらない…」
食器を俺の方に押し返してきた潤。
「いらないなら、いいよ食べなくて。
その代わり、面会はほんとに連れて
いかないから。そのつもりでいなね？」
潤「…やだ、…がう」
「違くない。」
潤「…じわる。智にぃの、ばか。」
和にはよく「ばか」って言われるけど
潤にはあまり言われたことがない気がする。
そんなこと思いながら黙って潤の食事を
片付ける。
雅紀が優しくしてくれてるから
任せることにした。
潤「…しょ、にぃ…」
雅紀にくっついて静かに泣いていた潤が
翔の名前を何度も口にする。
雅「ん？翔にぃに会いたいの？」
潤「ん、んっ…ん。だって、ずっと、…ない」
雅「そうだね。寂しいよね…」
潤は口に出さなかったけど
ずっと翔のこと求めてたのかもしれない。
今回は和に付きっきりで看病してるから
家には着替えを取りにくる程度しか
帰ってきてない。
和のことで不安でいっぱいで…
さらに大好きな翔にも、ほとんど会えなくて。
潤の心はギリギリのところまで
きてるんだって思った。
潤「…っでも、いい…俺には、
智にぃも雅にぃも、いるから…
和は一人だもん…」
雅「ありがとね…」
そう思ってずっと我慢してたんだね…
俺はキッチンで雅紀と潤の会話を
黙って聞いていた。
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
