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［翔にぃside］
中心静脈に
カテーテルを
入れることを伝えたら
「そんなの恐い…」って
拒否してきた和。
胸に何かされるってこと事態が
相当な恐怖だろうからね。
「今回はさ、これだけ頑張れば
もう嫌なことしないから。
栄養沢山入れてあげたら体が早く元気に
なるんだよ？」
和が少しでも前向きに考えてくれるように
様々にアプローチしてみるものの。
結局、首を縦には振ってくれなくて…
約束の時間になったから先輩にサポートを
頼んだ。
病室にきた先輩と看護師を見て
無理矢理にやられると悟った和は
すでにパニック寸前…
バタバタ暴れる体を抱きしめてやることしか
できない。
和「…とにぃ！」
無菌室に入ってから一度も目を向けなかった
ガラスの向こうに向かって
和は確かに智にぃの名前を呼んだ…
「たすけて」「やめさせて」って
智にぃに助けを求めてる。
拒否してたけど、智にぃがガラスの向こうから
いつも見守ってくれてたんだって
ちゃんと分かってたんだね…
助けてはもらえないけど智にぃの存在に
救われるはずだから。
「智にぃいたね。頑張れって
応援してくれてるから。な？」
和「やだー、こわいー」
先「かずくん、すぐだからね？
ちょっと、ごめんな〜…」
和「やっ、ぎゃー」
先輩は和の顔にタオルを掛けて
抑えてくれた。
それを合図に看護師達は、
体をがっちり抑制して、俺は注射器をもつ。
和「ぎゃー、…わいー」
麻酔のシールを剥がして
素早く麻酔薬を打った。
和「ぎゃー、やー、やー」
パニックに陥った和をどうしてやることも
できないまま進めるしかない処置…
先「翔くん、こっちおいで？
準備は俺がやるから。」
麻酔が効くまでの時間、俺が準備を進めようと
していたら先輩が声を掛けてくれて…
俺は先輩とポジションを交替した。
和は離してもらえないと分かってるはずなのに
すごい力で頭を動かそうとしていて…
その必死さに胸がギュッと苦しくなる。
だけど先輩がせっかく気を
利かせてくれたんだ。
無駄にはしたくないから、俺は耳元で
ゆっくりと和に声を掛けることにした…
「かず？」
「痛いのも恐いのもないから。」
「チューブ入れたら、もうおしまいだよ？」
「かーず？」
「だいじょうぶだよ、こわくない…」
なるべく和が泣き叫ぶ合間合間で
声を掛けて「伝わってくれ」って願う。
先「交替しようか。」
俺は先輩に頭を下げて交替して
処置に取りかかった…
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
