849.【2】 ページ49
［和side］
学校の健康診断。
慣れてる心電図も
知らない白衣姿の人が怖くて
ドキドキが止まらなくて乱れまくり…
血圧は低いし、体重も軽いし。
聴診も「風邪気味ですか？」って
言われちゃうし…
教室に戻れば「○○キロもあったんだけど〜…
どーしよ〜」って
クラスの女子の声が聞こえてきて。
「俺、あの子より軽いんだ…」って
思ったら、さすがに落ち込んだ…笑
それでもさ、分かり切ってた結果だからって
自分に言い聞かせて、午後には気分も
持ち直して、その後は普通に過ごしてたんだ。
でも数日後に配布された健康診断の結果。
みんな封を切って「ワーワー、ギャーギャー」
騒いでる。
もちろん俺は封は切らない。
そんな中、聞こえてきたクラスメイトの会話。
ク「俺さぁ、血圧は改善が必要で
心電図は要受診なんだけど…笑」
ク「ははっ！お前の体、不良品だなっ！」
ク「でもさ、心電図は引っかかること
あるって聞くよ〜？」
ク「不良品なら、体替えてもらってこいよ！笑
ついでに頭もなっ！」
何気なく耳に入ったクラスメイトの声。
『不良品』って単語が頭の中を埋め尽くす…
「体、替えてもらってこい。か…」
帰り道、一人ポツンと呟いて封を切る。
ずらーっと並ぶ『改善が必要』『要受診』
「ふふ…終わってんじゃん…」
俺は部屋に駆け込んで、紙を破いて
ゴミ箱に捨ててベッドに潜り込んだ。
［翔にぃside］
夕食を食べ終わっても、和の部屋から
智にぃが戻ってこなかったから
俺らは3人でそーっと部屋を覗いたんだ。
そしたら、智にぃの大きな背中が
ベッドに見えて…
「これなら、大丈夫だね…」って
頷き合って部屋を出た。
雅「最近、体調崩してたからまた痩せたね…」
リビングに戻ってきて紙を見て雅紀が呟く。
「そうだね…」
潤「でも、視力も歯科もすごく良いよ？」
潤の言う通り。
自分の努力でしっかり保ててる和は
ほんと偉いと思う。
こんな紙切れ、あてにならないよ…
俺が主治医なんだから…
紙をまとめてしまって、各々の時間を過ごして
智にぃと和を待つ。
智「どうする？お風呂先にする？」
しばらくして、智にぃに肩を支えられた和が
リビングにやってきた。
和「ん…、ご飯、にする」
智「じゃあ、ここで食べよっか…？」
和「…ん。」
ソファーに座った2人の前に夕飯を運ぶ。
和は泣き腫らした真っ赤な目で
俺らをチラッと見て俯いてから
智にぃの肩にコテンと頭を乗せた。
智「ん？だいじょーぶ…」
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
