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［智にぃside］
1回目の検温を終えて
俺らは決めたんだ。
和がどんなに暴れても
暴言吐いても叱るのだけはやめようって。
雅紀がね、言ったんだ…
「俺だって、あんなのやられるの
耐えられない…」って。
分かっているようで
分かりきれてない和の苦痛。
俺らには無理なこと、泣きたいほど痛いこと、
逃げ出したいことに和は向き合ってる。
今までも何度も乗り越えてきた。
だからさ、ほんとなら「もう、いいよ」って、
「やらなくて、いいよ」って言ってやりたい。
でも、それができないから…
せめて和の嫌って気持ちに俺らも全力で
向き合おうって決めたんだ。
翔「こっち向かないの。潤のこと見てて？笑」
何度も体を捩って「やるなっ！」って
怒る和に優しい視線を送る翔。
潤「ねぇ、かず見てよ…笑」
無視され続けても、枕元から離れない潤。
雅「いって…、お前さ、力強いな。笑」
蹴られても、負けない雅紀。
代わってやることは出来ないけど…
気持ちはお前に寄り添ってるよ？
俺らは心の中で、そう伝え続ける。
和「…！や…っ！」
翔「…！あぶねー…」
翔が入れた瞬間、バンッて足を跳ね返した和。
翔「ごめん、もうちょっと
しっかり固定できる？」
智雅「ん。ごめんね、はい、おっけぃ。」
雅紀と合図し合って、さらにガッチリ固定…
翔「ありがと。
かずー？痛くないからね、もう一回ね…？」
和「…！…んっ、ん〜、…たい…、やっ…」
翔が入れ始めれば、これでもか！ってくらい
全力で体を動かしてくる。
翔「ごめん、嫌だね…」
翔は優しく声を掛けながらも
「頑張るよ〜？」って励ます。
和「…たい、ぬ…て、も、や…」
2回目もやっぱりポロポロと
泣き出してしまった和…
「だいじょーぶ、だいじょーぶ…」
これしか掛けてやる言葉が見つからない。
でも「和は頑張れてるから大丈夫…」
そう伝えてやりたかったから…
和「…りや、りに…んの…だ…」
翔「うんうん、ごめんな〜…」
手を離すことが出来ない俺らに代わって
翔は背中を優しくさすり続けて
和に声を掛けてくれてる。
和「ぬ…て、もう…わりが、いい…」
翔「もう少しね、すぐ終わるから…な？」
和「ん〜、…たい、…たいっ…」
不快感も痛いに繋がるんだろう。
どうしてやることも出来ないけど
苦痛に顔を歪めてポロポロ泣く和が
可哀想で堪らない…
翔「ほ〜ら、おしまい…」
翔は「嫌だったね〜、かず…
でも、頑張れたな。」って大きな手で
そっと頭を撫でた。
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
