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［智にぃside］
和「…にぃ、
しょ、…ん、ん…」
「かず…来てもらおうね…」
和「しょ、…ん、
…にぃ…」
和は熱を出してから、ひたすら翔を求めて
呼び続けてる…
大好きな翔に「担当医やめる」なんて
宣告されて、そのストレスで熱出して。
和のこと見てると、体と心ってつながって
るんだなぁ…ってよく分かる。
何度もナースコールで翔のこと呼んだけど、
その度に新しい先生が来て「今日は医局から
動く気ないみたいです…」ってさ、
申し訳なさそうに…
翔は真面目だから、きっと勤務時間中は
かなり意識を高くして和と他の担当患者に
平等に接してたんだと思う。
だから歩くんのことも、大事な患者さん。
その患者さんを意地悪な気持ちで
傷付けられたってことが
許せないんだろうね…
でも、俺は思うんだ。
和は意地悪な気持ちで歩くんを
泣かせたわけじゃないって。
ただ一思いに「翔先生は自分だけのもので
あって欲しい」って
そう思った結果なんじゃないかって。
翔だって分かってくれるはずなんだけどね…
和がヤキモチでこんなにも
苦しかったってこと…
たかがヤキモチが、翔が絶対の存在である
病院ではこんなにも大きな障害に
なっちゃったってこと…
和「…にぃ、しょ…、…う、せん、せ…」
「分かったよ、かず…きてもらおうね…」
和「…う、せんせ、い…、…めん、…さ、い」
「かず…分かったから…だいじょーぶ…」
許されないことをしたからって
和にとって、この罰は重すぎる…
翔なら時間が経てば分かってくれると
思っていたけど、今度呼んでも
来てくれなかったら、無理矢理にでも
連れてこよう。
そう思ってナースコールで呼んでみたら…
先「今ね、顔洗ってるから待ってやって」
聞こえてきたのは翔の先輩の優しい声。
「かずー、よかったね…
翔ね、来てくれるって…」
和「…しょ、せんせ…ごめん、なさ…」
和はポロポロ泣いて手を空中で彷徨わせる…
翔のこと探してるんだよね、大丈夫。
もうすぐね、その手をギュッと大好きな
大きな手が包んでくれるからね…
和の手は彷徨っては力尽きて落ちて、
でもまた翔を求めてのばされる。
そんなことを何度か繰り返していたら
勢いよく開いた病室のドア。
翔「かず！」
飛び込んで来たのは、もちろん和が
会いたくて会いたくて仕方がなかった人で…
翔「かず…ごめんな…」
翔は彷徨う和の手を捕まえて、
ギュッと胸元に当ててやった。
和「…にぃ、しょ…ぃ…」
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
