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［潤side］
歩「おにーちゃん！
あーそーぼー？？」
朝から病室にやってきた歩。
今日は翔にぃがオペで午前中いないし、
ボールで遊ぼうと思ってたのに…
和と顔を見合わせて「どうする？」って相談。
和が苦笑いして「この前、翔にぃに
叱られたから連れてく」って呟いた。
和がそう言うなら仕方ない。
和潤「いいよ、中庭行こう？」
歩「中庭？はじめてー！」
どうやら、中庭に遊びに行くのは
初めてらしい。
短期入院だしね、車椅子だし。
「押してやるよ」
歩「ほんと？ありがとう！」
車椅子を押してやればキラキラ笑って
真っ直ぐお礼を伝えてくる。
こんな弟がいたら可愛いだろうなって
俺でも思ってしまうくらい歩は可愛い。
歩「ベンチ！座りたい！」
車椅子から降ろしてベンチに座らせたら
大喜びの歩は「がんばれっ！」って言いながら
俺らがボールで遊んでいるのを見てる。
和潤「あ〜、疲れたぁ〜…」
しばらく遊んで俺らがベンチに腰掛けた時
歩はポケットから折り紙を取り出した。
歩「これね、翔せんせいがくれたの。」
自慢気にお花の形に折られた折り紙を
開いた歩。
『歩の足が、早くよくなりますように…
だいすきだよ。 翔先生より』
「お守りだよって」って笑う歩が
和は羨ましくて仕方なかったんだろう。
俺だってちょっとヤキモチ
やいたくらいだから…
和「翔先生はね、俺の兄貴だから。」
和は歩のことを睨んで手から折り紙を
取り上げて池に放った。
和「翔先生はね、歩が退院して早く
居なくなればいいって思ってんの。」
歩「…ちがうもん！」
和「違くないよ！」
和は「な？潤。」って俺に同意を求めてきて。
歩の目が「ほんと？」って俺に向けられる…
「…。そうだよ、だからお守り書いたんだよ」
言ってはいけない言葉だって分かってた…
小学生と張り合って情けないって思った…
でも、和の悲しそうな悔しそうな顔を見たら
歩の存在が邪魔に思えて…
翔にぃが歩の事を励ますために書いたって
分かってるのに、ひどい事言って
小学生の子を泣かしてる自分。
最低だな…と思いつつも、どうすることも
出来なくて…
看「和くん、潤くん。あれ歩くん？
どうしたの？」
顔見知りの看護師さんが来て
バタバタとその場から逃げた俺ら。
歩が「お守りがっ…」って泣く声だけが
中庭に響いていて。
和「あいつがいけねーんだよ。
翔にぃのこと独り占めするから」
和は怒りがおさまらなくて
屋上に逃げた後も、ずっと怒ってる…
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
