833.【やきもち】 ページ33
［翔にぃside］
和潤「おーそーいー！！」
「はは！ごめんな？
リハビリの様子も見たくてさ。」
2人は声を揃えて「また歩くーん？」って
若干拗ねる…笑
1週間前から肺炎で入院してる和。
そして、それより少し前から入院してる歩。
今、丁度退院に向けてリハビリが
始まった時期で、何かと忙しいんだ…
病室を覗くのが少し遅くなるだけで
「どうせ、歩くんでしょ！」って
いじける和。
可愛いんだけどさ、病院では俺のこと
独り占めは出来ないって言ってるのに…
歩くんは小学生。
和と潤のこと紹介したら「おにーちゃん達」
って呼んで、すごく懐いてる。
最初は双子も嬉しそうにして、一緒に
遊んだりしてたんだけど、いつからか
ライバルに変わってしまったみたい。
ずいぶんと小さいライバルだけどね…笑
歩「おにーちゃん、一緒に遊ぼ？」
和「今は無理！」
冷たくあしらってさ、可哀想に…
「ねぇ、かず？歩はさ、和みたいに潤が
いるわけじゃないから寂しいんだよ？
もうすぐお互い退院なんだからさ、
優しくしてやってよ。な？」
和は俺に軽く叱られて「むぅ…」って
膨れたけど、渋々了解してくれた。
歩「おにーちゃん？一緒に屋上行こう？」
気乗りしない顔をしながらも
「いいよ」って言ってくれる和。
だけど、ヤキモチはなくならない…
和「もーいい！遅かったから、いい！」
「そんなこと言わないでさ。
どこ痛かったの？」
ナースコールで俺のことを呼んだのに
駆け付けるのが遅かったらしく怒ってる…
和「治ったからいい！
どうせ歩くんとこでしょ…」
「かず？俺は和のお兄ちゃんだけど、
和だけの先生ではないの。
前にも言っただろ？」
和「…らない」
「知らなくないだろ？笑」
和「歩くんは、翔せんせーじゃなくたって
いいじゃん。もういい…」
俺から顔を背けていじけてる和。
ほんとならさ、担当医がいけない時は
他の医師とか看護師が駆け付けるんだけど
和の場合は恐怖症の影響で
それを嫌がるからね…
だから、どうしても
待たせることになっちゃう。
夕方、戻ってきた智にぃにも「翔にぃはさ、
俺なんかより歩くんのが可愛いんだって。
大事なんだって…」って言いつけてる。
確かに歩は、頑張り屋さんで素直で良い子。笑
でも患者さんとして向き合う時は
歩にも和にも平等に接しているつもり。
もちろん、他の担当患者にも。
だれが1番とかないんだけどね…
分かってもらうのは難しいかな…
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
