830.【羞恥心】 ページ30
［翔にぃside］
熱で寝込んでた
和の体温は
ぐんぐん上がって
昼過ぎには40℃…
肩を大きく動かして苦しそうに呼吸してるから
見てるこっちまで苦しい気がしてくる…
「かず？手離して？すぐだから。な？」
和「んーん…」
ぐったりしてるから、座薬くらいすんなり
受け入れると思ったのに…
さっきまで問い掛けにも意識朦朧として
ちゃんと答えなかったくせに
拒否だけは全力なんだから…笑
「ほら、手離して？自分で脱げるの？」
和「ん…ちが…やんな、い…」
「なんでよ…？すぐ入れてやるから。」
和「んーん…や、だ…」
答えになってないし…笑
「ほーら、横向いて？いい子にして？笑」
ちょっと無理矢理にやろうとしたら
目を潤ませて「やだって、言ってる…」って
訴えてきた。
体力的に限界だから
ここで泣かせるわけにはいかないんだよなぁ…
「なにが嫌なの？無理矢理にしないから
教えて？」
口元に耳を近付けて優しく聞いてやる…
作戦変更だ。笑
和「…と、にぃ」
「ん？智にぃ？」
和「…ん」
また理由になってないんですけど…
「智にぃは仕事の打ち合わせでしょ？
俺の言うこと聞いて、いい子にしててって
言ってただろ？」
和「…ん。…も、さと、にぃ…がいい…」
智にぃのこと好きなのは知ってるよ？
でもさ、こんなハッキリ言われると
結構ショックなんだけど…笑
「分かった。じゃあ、薬頑張ったら
智にぃにメールしてやるから。な？」
和「んーん…。…すり、さと、にぃ」
「ん？座薬、智にぃがいいってこと？」
和「ん…。…ねがい」
「夕方まで帰ってこないよ？待てる？」
和「ん…、まつ、から…」
「そっ、分かった。じゃあ智にぃに頼もうね」
最近は俺に入れられても
大人しくしてくれてたんだけどなぁ…
まぁ「嫌だ」と言われてしまったら仕方ない。
本人が良いなら、とりあえず急を要する
わけでもないし、待ってやることに。
「もう一眠りして、待ってよう。な？」
和「…ん。…かない、で…？」
熱くなった手で、俺の腕を掴んでくる和。
甘えてくれるのが何か嬉しくて
頷いて、頭を撫でてやる。
胸元をトントン叩いていると
すぐに寝息が聞こえてきて…
苦しそうだけど、眠れたことにホッとする。
俺はベッドに腰掛けて智にぃにメールを送る。
「可愛い和くんが、智にぃがいいって
言ってますよ。笑」ってね。
もちろん写真添付で…
バレたら本気で怒られそうだな。笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
