828.【6】 ページ28
［翔にぃside］
目を覚ましてからの
潤の様子次第で
腕の拘束を
どうするか考えようって思っていたけど…
潤「…えるから、…って」
「抜かないって約束するならとってあげる。」
潤「…だ、やだ。帰る…とって…」
「駄目。帰らないよ？」
潤「…じわる！とれって、言って…だろ！」
目覚めた直後から、ずっとこの調子…
雅「じゅん？翔にぃの言うこと聞いて、
なるべく早く帰ろうよ。ね？」
潤「…るせーな！兄貴みたい、なこと
言うなっ！」
雅「…笑。俺、お前の兄貴なんですけど…」
潤「は？触んな！」
雅紀に至っては、
兄貴としてすら認識されず。笑
潤はね、比較的聞き分けいいし
いつも我慢することも多いから
駄々っ子でも可愛いもんだよ。笑
たぶん雅紀もそう思ってるから
潤に怒鳴られながらも髪の毛撫でて
笑い掛けてやってる。
「約束できたら外してやるから。
な？自分で少し考えて。」
潤「…じわる」
「ん？いじわるはしてないよ。
お前の担当医だもん。」
潤「…だ。翔、せんせ、やだっ！」
言ったな〜？笑
「ほんとだな？
じゃあ、先輩に頼むからいいよ。」
潤「…。勝手にしろ！バーカッ！」
潤は俺と雅紀を睨んで顔を背ける。
前に和にも言ったことあるけど、
俺が担当医になることで甘えちゃって
言うこと聞けないなら、違う先生に
頼んだ方がいい。
今回は潤もそれを望んでるから、無理して
俺が担当医にならなくていいかなって…
まぁ、潤が意地張ってるだけっていうのは
分かってるんだけどね。
素直にお願いできたら、また担当医に
戻ってやろうかな。なんて…笑
俺は翌朝、出勤してきた先輩に潤のことを
託した。
「噛み付きそうな勢いがあるけど、ほんとは
甘えん坊さんで、可愛い末っ子なんです」
ってね。笑
先「潤くん、おはよう。調子はどう？」
聴診器を構えて近付く先輩に
ビクビクしてる潤。
俺は黙って服を捲ってサポートする。
先「少しラクになってきたんじゃない？」
先輩は少しも笑わない潤の頭を撫でながら
「どう？」って優しく笑う。
俺らが先生に対しての口の利き方を
注意したから怒鳴ったりはしないけど、
愛想はゼロ…
こりゃ、問題児だね。笑
先「お兄さんと、点滴抜かないって
約束できた？」
潤「…」
潤は黙って目を閉じる…
先「そっか…腕が動かなくて不自由だろ…？
約束できたら外すから、先生に教えてな？」
みるみるうちに目に涙を溜めて
顔を背ける潤。
可哀想だけど…頑張りどころかな…
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
