827.【5】 ページ27
［雅にぃside］
病院に連れてこられて
改めて、和との距離を
感じてしまったんだろう…
潤は「帰るから離せっ！」って診察室の
ドアの前から動かなくなってしまって。
翔にぃと先生は治療のことを相談中。
翔「雅紀、とりあえず点滴するから
一緒に抑えてもらっていい？」
「うん、ベッド？」
翔「いや、多分ベッド上がらせるの無理だから
ここでいい。」
どうやら点滴は先生に頼んだらしい。
先「潤くん、右利きだよな？
左手の甲でいいかな？」
翔「はい、お願いします。」
潤「…！ばかっ！触んなっ！」
翔「潤！いい加減にしろよ、ほんとに。」
そっと手に触れようとした先生に向かって
怒鳴ったから、翔にぃに叱られた潤。
翔「いつまでも何でもは許さないからな？」
潤「…」
翔にぃは「ほんと、すみません。度が過ぎたら
先輩も遠慮なく叱っていいですから…笑」って
苦笑い。
先生が一番怖かったりして。笑
潤「…って、やだ…やだ…」
翔「うん、嫌なのは知ってるよ？
でも、このままにしてたら長い期間の
入院だよ？そうなりたいの？」
潤「…だ。やだ…」
翔「だったら頑張るしかないだろ？
とにかく、先生は手伝ってくれてるんだから
八つ当たりすんな。分かったな？」
潤「…」
翔「潤、返事は？」
潤はポロポロ泣いて「入院やだ…」って
繰り返す。
気持ちは分かるけど、こればっかりは
泣いたって喚いたって、
どうにもならないことだから…
翔「雅紀、頼むね？」
翔にぃは俺に合図した後、黙って先生に
頭を下げた。
潤「や〜、離してっ…、だめ…やんな…」
翔にぃと抑えつけて何とか点滴の針が
刺せる状況…
翔「じゅーん…今回はどんなに嫌でも
やるしかないよ？分かるだろ？」
潤「…やだ、いや、だ…」
翔「あとちょっとだけ、じっとしてて？
頼むから…じゅーん？」
潤「…なせ、…なせって…ばかっ」
先生は潤の手の甲に、しっかりと点滴の針を
固定してくれた。
翔「じゅん？抜いたら駄目だからな。」
潤「や、だ…。…える、帰りたい…」
翔「抜いたって帰れないよ？」
潤「…だ、やだ、よ…」
翔「うん、嫌だね…辛いね…」
潤「…かるなら、とってよ…帰らせて、よ…」
翔「それはできないでしょ？」
翔にぃは潤の手を抑えて
根気強く、何度も言い聞かせる…
それでも潤は絶対に首を縦には
振ろうとせず、そのまま薬が効いて
眠りに落ちた。
涙の跡を残して眠った潤は
空いていた病室に運ばれて、
腕をベッドに拘束された…
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
