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［雅にぃside］
智にぃがこんなに
感情的に叱ったのは
初めてかもしれない…
玄関に放り出された和は
小さくなって静かに泣いている。
智にぃに掴まれた左手首が
赤くなっているのが分かる。
「かず？」
和「んっ、ん…。な、に？」
「どうしてあんなに
智にぃが叱ったか分かる？」
俺の言葉に和はコクンと頷いた後、
床を見つめて泣きながら
「分かる」って答えた。
「じゃあ、泣くのはおしまいにしよう？
和にはやらなきゃいけないこと、
いっぱいあるでしょ？」
和「…ん。んっ、ん…」
頷くものの動こうとしない和。
今日は朝から一度も甘えてないみたいだから
そろそろ心が限界なんじゃないかな…
「おいで、和。泣きやめるようにさ
俺がパワー分けてあげるから」
両手を広げてそっと近付いたら
ゆっくりだけど顔を上げてくれて…
真っ赤な目からポロポロ涙を零しながら
俺を見つめてくる。
「ほら、おいで？」
和「いい、のっ？」
「ん？何が？」
和「…って、しょ、にぃに
ひどいこ、といった…。
まさ、にぃは、おこって、ない、の…？」
「うん。本心じゃないって分かってるもん。
翔にぃも智にぃも分かってるよ？
だから、大丈夫。いいから、おいで？」
和「んっ、ん…、ごめ、んな、さい…」
しゃっくり上げながら胸元に
張り付いてきた和をギュッと抱きしめる。
自分が言い過ぎた言葉で
翔にぃを傷付けてしまったこと…
そのことで和の心の中は、きっと今
後悔でいっぱいだろう。
「ほら、かず？泣き止むためにパワー
送ってんだから。いつまで泣いてんの？笑」
そろそろいいかなっと思って、からかったら
「もうすぐ、泣き止む、もん…」って
ちょっと拗ねた和。
可愛いんだから…笑
それから和は「ごめんなさいするパワーも
ちょうだい？」って潤目で見つめてきて…
「その顔は反則！」ってほっぺをギュッて
してやった。笑
和「いたいよ、雅にぃ…。ふふ。」
「あひゃ、ごめんね？
ごめんなさいするパワーは
和がもってるでしょ？」
和「…」
「自分の力でごめんなさいしてごらん？
にぃ達には伝わるし、お前のことは
受け止めてくれるから。な？」
和「…ん、がんばる…」
謝るのって勇気いるよね…
言い訳したり、自分に都合良いように
話をもっていったりして誤魔化しちゃうことも
あるよね。
でもね「ごめんなさい」って言葉
すごく大事だと思うから。
和には素直に遣えるようになって欲しい。
真っ直ぐな子だって知ってるからさ。笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年8月8日 7時
