783.【末っ子の悪夢】 ページ33
［潤side］
明け方、
魘されて目覚める…
そこからはもう、
怖くて目を閉じることができない…
『和くんもさ〜、チーム入ればいいのに。』
『おい、やめろよ！無理なんだから…』
『えっ？なんで？』
『お前知らねーの？和くんさ、
治療法がない難病なんだってよ…』
『…知らなかった、ごめん。』
フットサルのチームメイトの何気ない会話。
悪気がないのは分かってる。
だけど『治療法がない難病…』その言葉が
頭の中でグルグルまわって…
それが悪夢となって俺を襲う。
和が背を向けて歩いていってしまって
どんなに走っても追いつけなかったり…
和が「たすけて」って叫んでるのに
どんなに手をのばしても助けられなかったり…
翔にぃが「助けられない…」って泣いてたり…
まだまだ沢山…
どんなにかき消そうとしても悪夢は俺を襲う。
そんな状況が続いて、食欲も落ちた…
智「もう、ごちそうさま？」
「ん。お腹いっぱい」
翔「全然食べてないじゃん。具合でも悪い？」
「んーん。へいき。」
昨日までは何とか頑張って完食してたけど、
さすがに限界…
これ以上食べたら吐いてしまいそうで、
俺は心配掛けるのを承知で部屋に戻った。
『何かあったら相談してね』
兄貴たちに何度も言われた言葉が
頭の中で繰り返される。
早い段階で相談すれば、掛ける心配も
少なくて済むだろう…
俺はそう思ってリビングに戻った。
［和side］
雅「かずー？潤から何か聞いてないの？」
「うん。」
雅「喧嘩でもした？笑」
「してねーよ！笑」
くだらないやり取りをしていたら、
潤がリビングに戻ってきた。
翔「どうした？やっぱりどっか具合悪い？」
潤「…ゆめ」
翔「見るの？いつから？」
潤「…分かん、ない」
前に翔にぃに聞いたことがある。
和が体調悪いと、潤が不安になって夢を
見て魘されてることがあるって…
きっとそれなんだろう。
でも俺は最近、大きく体調を崩してないのに…
不思議に思いながらも潤の言葉に
耳を傾ける。
なるほどなって思う。
潤は俺のこととなると敏感だから、
きっとチームメイトが言った言葉を
重く受け止め過ぎたんだろう…
翔「話せて偉いね、潤。」
コテンと翔にぃに寄りかかった潤は
「寝るのが怖い」って呟く。
翔「薬もらえれば怖い気持ちを少なくすること
できるから。な？」
潤「ん…。」
潤はその日は結局、翔にぃと寝ることに
なったみたいだ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2013年7月16日 5時
