768.【8】処置 ページ18
［雅にぃside］
翔「痕がね、
残っちゃうから。な？」
和「んーん…。
…んも、ない、もん…。や…」
何度翔にぃが説得を試みても
「何もないもん。いや…」
それしか言わなくなってしまった和。
翔「…分かった。じゃあ、ガーゼ
当てておいて？できる？」
和「ん…」
翔にぃは和にガーゼを渡して
固定用のテープも切って渡してあげた。
とりあえず、少し落ち着くのを
待った方がいいってことなんだね…
翔「素直にさ、睡眠薬飲んでくれたから。
とりあえず明け方までは大丈夫…」
和を寝せてくれてリビングに
戻ってきた翔にぃ。
翔「外来にさ、たまに来るんだよね…
鉛筆の芯とか、シャー芯が刺さった子ども。」
智「うん、処置は？」
翔「ホクロみたいに痕が残っても良ければ
抜くだけ。嫌なら局麻して処置かな。」
智「和はさ、痕残さない方がいいよね？」
翔「うん…。分からないけどね、そう思う…
痕が残ってれば見る度に思い出すことに
なるからね…」
4人で話し合った結果、申し訳ないけど
和にはちょっと頑張ってもらって
きちんと処置しようってことになった。
だけど…明け方に目覚めてしまった和は
まだ恐怖から抜け出せていなくて
しばらく泣いて震えてて。
そんな和を見て潤も「和の傍にいる」って
登校を拒否。
でもそれは智にぃが許さなかった。
智「潤？和も頑張ってくるから。ね？
帰ってきたら、また傍に居てやって？」
何とか言い聞かせて登校させて。
和「…め、だめ。…わんない、で…」
傷口を絶対に触らせない和。
これから病院で処置しなきゃなのにって
思うと胸が痛む…
和「なん、で…？」
翔「ん？」
和「なん、で…きがえ、る、の…？」
翔「怪我したとこ治しにいこう？」
いつまでも隠し通せるはずもなく…
和「んー、びょ、いん、は…かない。」
翔「大丈夫だから。な？」
和「…かな、い。や、やだ…」
すでにパニックになりかけた和は
いつかのごとくフローリングに
ひっくり返って泣き喚く…
もともと不安定だった心に、
学校での怪我にパニック…
病院での処置。
これだけマイナスなことが続けば
こうなるのは当然。
言い方悪いけど、すべて俺らの想定内。
だから俺も仕事を休んだわけだしね…
和「…ない、きた、くな…。や…ぎゃー」
無理矢理に着替えさせられ引っ張られ…
和「ぎゃー、やー」
和は完全にパニック状態。
翔「ごめんな、かず…」
和「やー、いやー」
強制連行は何度やっても慣れない…
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作者名：空
| 作成日時：2013年7月16日 5時
