767.【7】 ページ17
［翔にぃside］
和「…いや」
帰宅して、
しばらく様子見てから
「腕診せて？」って迫ったんだけど。笑
思った通り…断固拒否。
智「ちゃんと冷やしてたもんね〜。
見せてあげたら？」
和「…やだ」
いつもより、ゆっくり優しく話してくれる
智にぃの言葉も今の和には届かない。
智「じゃあ、どうしよっか…？」
和「……？」
智にぃは和を真っ直ぐ見つめて問い掛ける。
智「ん？かずは、ど〜して欲しいかな〜って
思って」
和「…」
智にぃの優しい問い掛けに、和の目から
我慢していた涙がポロポロ溢れる…
智「うん、泣きな…。気が済むまで…」
そっと体を寄せた智にぃの胸元に
和はピタッと張り付いて、
声をあげてワーワー泣き出した。
恐怖、不安、緊張、痛み、戸惑い…
学校で初めてパニックを起こして
それもクラスメイトの前で…
和が何を感じたのかは分からないけど。
色々思うことはあるだろう…
それは安易に想像できた…
雅「…ただいま」
いつもより1時間以上も早く帰宅した雅紀は
大声で泣く和を見て、ちょっと顔を
曇らせたけど。
雅「抱え込むよりいっか。」
そう言って太陽みたいに笑って
頭をそっと撫でてやった。
雅「潤が守ってくれたんだって？
ありがとね〜。」
もちろん、潤への声掛けも忘れない雅紀。
潤は下を向いて、ちょっと恥ずかしがった
けど…すごく嬉しそうに笑った。
智「…ん？うん、じゃあ、そうしよっか。」
どれくらい泣いたんだろう…
智にぃが後ろから抱きしめるかたちで
俺らの方を向いた和。
何かを伝えたらしい和は、智にぃにくたっと
体を預けて不安そうに瞳を揺らす…
智「翔？最初は見るだけだって。いい？」
和にも伝わるように、ゆっくり丁寧に
俺に向かって問い掛ける智にぃ。
「うん、見るだけね。了解。」
智にぃは和の手をそっと掴んで「見せて？」
って声を掛けた。
ゆっくり外される保冷剤。
一点が黒っぽくなって周りが
少しだけ赤くなってる…
よく見ると、鉛筆の芯がまだ残ってるのが
分かった。
潤が言ってたんだ…「ふざけてカッターで
尖らせてたから、
たぶん刺さったんじゃないか」って。
そりゃあね、腕に鉛筆が刺されば
パニックにもなるでしょうよ…
和「…う、…しま、い」
みんなに注目されて耐えられなくなった和は
再び腕を隠して、ギュッと目を瞑った。
「ねぇ、かず？…治してもいい？」
俺の問い掛けに、和は目を見開いて
フルフルと首を振った…
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作者名：空
| 作成日時：2013年7月16日 5時
