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［智にぃside］
熱があるのに
ビショビショになった翔。
俺はとりあえず翔を院内に連れて帰り、
看護師さんに託して、また和を探す…
家までの帰り道を中心に探し回って
公園までたどり着いたとき
前にもここに居たことがあったと思い出した。
案の定、遊具の下で雨宿りをする和。
「かず！」
和は俺の声にパッと顔を上げて
逃げ出そうとする。
ここまできて、どこへ逃げるつもりなのか…
だけど、体が思う様に動かないんだろう。
よろよろして、地面に座り込んだ。
もう全身ビショビショで泥だらけ…
「…何してんの？」
思わず自分でも驚く程の、
低くて怖い声が出た。
和「…雨って、しらなかった、の…」
さすがにマズイと思ったんだろう。
和は俺を見上げて目を潤ませる。
「知らなかったで済むか、ばか。
どんだけ心配掛ければ気が済むんだよ？」
俺の口から出る厳しい言葉に
和は泣くのも忘れて小さくなってる。
とりあえず連絡しなきゃ…
「戻るから。立って。」
病院に連絡を入れた俺は和の腕を引いて
立たせる。
触れた体からは、そんなに熱は伝わって
こなくて、ちょっと安心した。
和は嫌だとでも言う様に、腰を引いて
足を突っ張って…素直に歩かない。
「ちゃんと歩け。いい加減にしないと
引っ叩くよ？」
ちょっと脅そうと思って手を振り上げたら
フルフル首を振って怯える。
ほんとは引っ叩いてもいいくらい
なんだろうけど。
どうしても俺には
そんなこと出来ないからね…笑
脅しがきいたのか、素直に病院まで歩いた和。
和「しょ、にぃ…言わないで…？」
「…お前のせいで熱上がって寝てんよ！」
和「…」
やばい…
言い過ぎたか…
まぁ、事実だし…ちょっとは反省して
もらわないとだからいっか。笑
「先生呼んでくるから、とりあえず寝てて？」
和「んー…しょ、せんせ？」
「翔先生は寝てるから来ません！笑
いいね？待っててよ？」
和「…いやだ」
「ん？」
和「しょ、せんせーじゃなきゃ嫌だ…」
和はフルフル首を振って、俺の腕を掴んで
訴えてくる。
「かず？翔は熱があるの。言ったよね？
朝から具合悪かったのに、この雨の中を
お前のこと探し回って…」
和「…から、ごめんなさい、した、い…」
「とにかく今は無理だから。
ちょっと待ってて。」
和「んー、いや、いやだ…って」
全然じっとしていてくれない…
これだと俺のこと追ってきそうだから、
ナースコールを押して先生が来るのを待った。
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作者名：空
| 作成日時：2013年6月20日 18時
