743.【6】内視鏡 ページ43
［翔にぃside］
俺に向かって
「ケチ」「ばか」って
暴言を吐く和をしっかり捕まえて。笑
病院へと連行した。
消「こんにちはー」
和「…！たいちゃんっ！」
車の中では機嫌が悪かったのに
先生にはこの態度。
どんだけ好きなんだろーね。笑
消「えらいね、和くん。」
先生は「お腹の中、綺麗にしてきた？」って
和に優しく笑いかけてくれた。
簡単な診察をしてもらった和は
着替えも済ませてベッドに寝転ぶ。
大好きな先生に背を向けなきゃいけなくて
若干拗ねてたけど、何とかいうことを
聞いてくれて。笑
俺と智にぃは顔が見える方に座った。
いつでも鎮静剤が使えるように
見えない位置に用意してくれた先生。
消「よし。じゃあ、はじめるね？」
和「…うん」
消「ずっとお口でゆっくり深呼吸ね？」
和「…うん」
麻酔のゼリーを塗られて強張る体を
先生は優しく解していく。
和「…っう。んっ…んー」
消「そんなに力入れなくても大丈夫だよ？」
和「んっ…うー、いた…い」
先生は「ちょっと頑張ろうね」って背中を
撫でて、俺らに合図を送ってくる。
さり気なく、体を抑制する俺ら。
和は「いたい、いたい」って体を捩ろうとして
辛そうだ。
こんな騒がれたら、先生だってやりずらい
だろうなって思うと申し訳ない。
しばらく辛そうだった和だけど
「頑張ったね〜。第一難関クリアだよ〜」って
先生の言葉と同時に大人しくなった。
消「またちょっとラクにしててね〜」
コクンと頷く和。
どうやら、まだ頑張る気らしい。
俺は耳元で「ラクになる薬、いつでも
つかえるからな？」って伝えておく…
また痛み出したのか、和はギュッと
両手を握りしめて、小さく唸り出す。
消「やっぱり癒着してるから、厳しいね…」
和の痛がりようを見て、顔を曇らせる先生。
和「う、んっ、いっ…」
消「和くん、大丈夫？頑張れる？」
和はコクコク頷いて「たいちゃん、やって」
って呟いた。
消「じゃあ、もう少し様子みながら
進めようね。無理って思ったら、我慢しないで
伝えてね？」
和「…ん、わかっ、た…」
消「お口でゆっくり呼吸しててね〜」
内視鏡が進むにつれて、和の顔が苦痛に歪む。
和「んっ、う…、い…い」
うっすら汗を浮かべて、痛みに耐える和。
それでも和は「やめて」って言わない…
きっと自分の中でも「何かの病気だったら…」
って不安な気持ちがあるんだろう。
先生が「ちょっと休憩しようか…」って
声を掛けてくれても和は首を振る…
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作者名：空
| 作成日時：2013年6月20日 18時
