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［翔にぃside］
和「ぎゃー」
背中に痛みを感じた和は
パニックに陥る。
恐がる和を全力で抑え込む俺ら…
すごい力で縋ってきて、
「おしまい」って伝えても少しも離れない。
少しだけ中断して、呼吸が整うのを
待ってやる。
それでも、この環境が恐くて仕方ないから
ほとんど落ち着かなくて…
もう強制的に眠らせてしまおう。
そう思って口にマスクを当ててもらった。
和「…や、やだ…しょ、にぃ…やん、ない…」
「ごめんな。安心していいから…
大丈夫だから。な？」
和「…や、しゅ、じゅつ、や…」
力を振り絞って抵抗してくる和を抑え込んで
俺はマスクにのばされる手を抑制した…
和「…すけ、て、しょ、にぃ…」
「ん？大丈夫だから、おやすみ…」
興奮した和を薬で落とすのはかなり大変で…
何度か中断しそうになった程。
心が何度も折れそうになって…
もういい加減にしてくれっ！って心の中で
叫んでいた俺…
和は最後に「たすけて」って呟いて
意識を手放した…
看「少し休んだ方がいいですよ…」
看護師に促されて手術室の片隅に座った俺は
ただボーッと手術が終わるのを待った。
執「まわりに影響がない箇所だったので
綺麗に切除できましたよ」
この一言で体から全部の力が抜けた。
「ありがとうございます…」
感謝の気持ちしかなくて、何度も何度も
スタッフに頭を下げて…
和より先に手術室から出て、
ICUで待っていた。
「…がんばったな、かず…」
容態が安定するまではチューブがいっぱいで
痛々しいけど…
和「…りが、と。」
「…」
和「た…けて、くれ、て…」
麻酔が覚めて一番最初に和が口にしてくれた
言葉に、俺らの心は救われた。
今回、術後の回復が著しかった和。
熱も出さず、トラウマにもならずに
済んだみたい。
和「ねぇ、あらし見てきていい？」
「いいよ、いっておいで？」
術後の歩行もそこまで嫌がることなく
毎日のように屋上で遊んでる。
潤があらしを連れてきてくれるから
屋上からそれを眺めて…
潤「かーずー！」
和「じゅーん！あらしー！」
「ウォンッ」
相変わらず三つ子みたいだ…笑
緊急手術なんて予想もしてなかった事態に
なって、沢山泣いたし戸惑ったけど。
そのすべてが和の力になってくれてることは
確かだ。
和はきっと俺らより早いスピードで
心の成長を遂げている。
『かず、退院おめでとー！！』
我が家にやっと、日常が戻ってきた…
かず…幸せだよな？
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作者名：空
| 作成日時：2013年6月20日 18時
