5人で生きてゆく…part15 (ページ36)

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［翔にぃside］

雅「ごめんね、かず。」

智「これだけね、
頑張ろうね。」

和「や、やー」

潤も頑張ってくれて、何とか3人で
抑え込んだ体。

雅「右手でいいんだよね？
ほら、握ってるからね。」

床にひっくり返って泣き喚く和。

その和の意思とはまったく関係なく
強行される処置…

雅紀は和の右手を俺に差し出して、
ギュッと握って抑えてくれてる。

可哀想だけど、また甲に刺す…

和「やー、ぎゃー」

とうとうパニックになった和。

このまま意識を飛ばしてくれれば…とさえ、
思ってしまう。

そんな俺の気持ちを知ってか、
智にぃは俺に向かって「ありがとね…」って
笑いかけて和を抱きしめる。

智「おしまい、おしまい」

だけど和は必死になって智にぃの胸を押して
自分から遠ざけて逃げた。

乱れた呼吸を1人で整えようとして
胸元をギュッと掴んでいる…

試しに少し投薬した鎮静剤も全く効果がない…

それほどに和は興奮状態の中にいる。

和「…すり、や。くすり、やー」

「ごめんな…」

和「ぎゃー」

このままでは手術室に移動することすら
難しい。

何度かに分けて薬を投与する度に
パニックを起こして呼吸が乱れる。

和「…すり、…め、だめ…」

それでも、かなり多めの量を投与したから
さすがに意識が朦朧とし始める和。

でも和は俺らを寄せ付けることはせず
窓際から動かない…

「そろそろ移動させようか。
ストレッチャー頼むから、来たら乗せて
やってくれる？準備してくるから」

智雅潤「…お願いします」

病室を出る俺に揃って頭を下げた3人。

「うん、任せて。大丈夫だから」

俺は自分にも言い聞かせる様に、
しっかりと返事をして病室を出た。

手術室で和の状態を説明して到着を待つ。

和「さ…にぃ、まさ…ぃ、じゅん…」

看護師たちに体を軽く抑制された和は
ポロポロ泣いて、手術室に入ってきた。

ぼんやりと一点を見つめて弱々しく
泣いている和だったけど、
状況を一気に掴んだらしく、目を見開いた…

和「…！しゅ、じゅつ、や…しない、やー」

バタバタ暴れる体を沢山のスタッフに
抑えられ、手術台に乗せられた和。

和「…らな、い、せん、せ、や…」

和は必死になって伸ばされる手を払って
「しょ、にぃ…」って手をのばしてきた。

「かず？ここにいるよ…」

俺は抱きしめたついでに
体を横向きに抑え込む。

「ずっといるから…な？
辛いのおしまいにしよーな…」

俺の合図で背中に麻酔の注射が打たれた。